第66話

翌日は強化日程2日目

新見さんに捕まらないように急いで朝食を済ませ部屋に戻る。幸枝は

「真由美ちゃん、真由美ちゃんは流石に現地で剥くわけにはいかないから部屋でテーピングしますよ」

早速真由美を捕まえていた。真由美の面倒くさそうな表情が可愛い

「とりあえず、お試しでやってもらえよ」

と笑いながら背中を押す。

競技場につくと昨日と同じように幸枝にテーピングをしてもらう。昨日と違うのは

「おや?真由美ちゃんもテーピング?本当にあなたたちの関係って不思議。加藤さんもケイ君狙いのはずなのに、その彼女の真由美ちゃんを凄く大事にしてるし」

桐原先輩に弄られ

「ケイ。おまえらさぁ、いっそ3Pいっちゃえよ。加藤ちゃんなら真由美ちゃんも受け入れてくれそうな勢いじゃん」

「無責任なことを、それって二人ともに物凄く失礼だって分かってて言ってます?流石にそこまでいくといくら先輩でも怒りますよ」

「お、おぉ。すまん」

オレにとっては二人とも大事なのだ。大事だからこそ幸枝を振り続けているのに冗談とは言え、こういう言いかたをされると流石にイラっとする。

ん?そうか、いつの間にかオレは幸枝のことが大事になっていたのか。ハハッ、距離も近くなるわな。

あとは昨日と同じメニューをこなし、夜も昨日と同じように周時高校軽音部の練習にに混ぜてもらった。ちょっと違ったのが

「ケイ君、森川さん、ちょっと良いかな?」

長瀬さんの声に

「はい、なんでしょう」

「ふたりで、この曲歌ってみてくれないかな?」

渡された楽譜は、オリジナル曲で

「え?これって」

「うん、うちの最新のオリジナル。なんだけどさ」

後頭部をぼりぼりと掻きながら

「調子に乗って曲作ったらさ、うちのメンバーだと音域が無理でさ。でも君たちならこなせるかなって」

それを聞いて真由美は、ちょっと嫌な顔をする

「でもそれって結局NGにする曲ってことですよね」

「ごめん、悪い意味じゃなくてさ、イメージとしてこの歌はこの曲が最高のイメージなんだ。最終的にお蔵入りにするか曲を弄ってメンバーが歌えるようにするかかもしれないけど、この曲のオリジナルイメージを1度で良いから形にしたくて。勝手な事を言ってるけど、協力してもらえないかな?」

真由美が渋っている間に楽譜を確認する。頭の中でイメージする・・・。あれなんかこれ良くね?気づいたらソロで弾いてみていた。全体を綺麗に通すのは無理にしても、イメージを作る手助けをする程度は弾ける。

1通り弾き終わり。頭の中で歌をあわせていると。注目を浴びていた。あれ?

「ケイ、歌ってみたいの?」

それまでの嫌がる雰囲気から優しい感じに変わった真由美の声に

「これ歌えたら気持ち良いぞきっと」

結局俺用と真由美用に2パート分のメロディーラインをスマホに録音して持ち帰る事になった。

そして機嫌よく部屋に戻ろうとして

「やっぱり居る」

新見さんそこまで執着するのは何故なのかなぁ

トークアプリを開いて昨日と同じパターン

でも、ちょっと悪戯を・・・真由美を押し込むときにちょっとフニフニしてみた。

あ、真由美の顔が真っ赤に

「ケイ」

「はい」

「そういうのは二人きりの時にして、そしたらあたしも・・・」

最後は聞こえなかったけれど、かなり恥ずかしかった模様

そんなこんなでなんとか無事に合宿4日目を終えた。

翌日は、お楽しみの1日に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る