第46話

中間テストも終わり久し振りの部活の帰り道

「なんで加藤さんが一緒にいるわけ?」

真由美がちょっとオコでジト目になっている。

「マネージャーとしては有力選手2人のトレーニング後の生活パターンを把握したいと思っただけですよ。おふたりの邪魔はしませんので」

「近くにいるだけで邪魔だって・・・」

真由美が邪険にするものの加藤さんはまるで気にする風が無い。

「トレーニング後の生活パターンも何も、歩いて家に帰るだけだぞ」

「おふたりにとっては、それだけかもしれないけど、端から見たら違うかもしれませんよ」

「そんな屁理屈を・・」

真由美が更に文句を言おうとするのを

「真由美」

声を掛けて止める。

「だって、ケイ」

「通行人だ」

「え?」

「たぶん何を言っても聞かないよ。加藤さん。そうだろ」

「うん」

ニコニコしながら返事する加藤さんを横目に見ながら

「なら、単なる通行人と思うしかないよ。・・・いこう」

真由美の手を引く。どうしても加藤さんを気にしながらも横を歩く真由美の肩を引き寄せ、耳元で囁く

「もう、気にするなよ」

「ひゃ、もうケイ、びっくりするじゃない」

くっくっくっと小さく笑いながら

「あたふたする真由美が可愛いいもんだから、ついね」

手をつなぎ肩を寄せ合ってのいつもの帰り道。いつもの公園が目に入る。

「ケイ。今日はここは・・・ね」

ふたりの思い出の場所。ふたりの想いの原点。ここは、ここだけは加藤さんには知られたくない、足を踏み入れられたくない。そんな真由美の想いを感じ。

「今日は俺の家に来るか?」

自然と真由美を誘っていた。ぱっと明るい顔になった真由美が嬉しそうに

「うん、行く」

繋いだ手が更にお互いを求め、人差し指が絡み、お互いの心を求め中指が絡む。見つめ合い薬指を絡め、肩を寄せて小指を絡める。幸せな気持ちで親指を絡め歩きだした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る