第45話

中間テスト最終日

「そこまで。鉛筆を置いて。解答用紙を回収します」

先生の終了の言葉に

「おわったぁ」

「うわぁ、あとちょっと、あとちょっとで解けるのに・・・」

騒ぎまくるやつら、全てを使い果たしたかのように机に突っ伏するやつら。このあたりは進学校も一般の高校も一緒だろう。

「ケーイ、お弁当たべよ」

さっそく真由美が抱き付いてきた。

「おう、どこで食べようか」

「天気も良いし、中庭で食べようよ」

左腕に真由美をぶら下げながら中庭にいくと、適当な木陰に小さめのレジャーシートを敷いて二人並んですわる。オレは母親作の弁当だが真由美は自作だ。ふたりで弁当をひろげる。

「テスト最終日に自分で弁当つくってて大丈夫だったの?」

「まぁ昨日までケイやみんなに色々教えて貰ったからね。結構自信あるかも」

「まぁ真由美はやれば出来るからな」

なにげない会話が嬉しい。

そこへ

「やっほぉ、伊藤君、森川さん、お昼一緒させてほしいな」

「加藤さん・・・」

「恋人同士のランチに突撃ってちょっとデリカシー無さすぎじゃ無い」

ちょっと昨日のお返しをしつつ

「えぇ、いいじゃん。ここでキスするわけじゃ無いでしょ」

「「な、なにを」」

「私だって好きな人のそばにいたいんだよ。邪魔はしないからせめてそばにいさせてよ」

そう言われてしまえば、俺も真由美もあまり強くは言えない。強くは言えないけれど

「オレ達、加藤さんがいても、いちゃつくかもしれないよ」

「うん。ふたりでいるところに私が来たんだからそれは我慢する」

「「はぁ、まぁいいよ」」

「ありがとぉ」

ばっと抱きついてくる加藤さん。

「ちょ、ちょっと、そこまでは許してないから」

真由美が間に入ってさえぎる。

「ご、ごめんなさい。うれしくて、つい」



「ところで陸上部は試合って無いの?」

加藤さんが聞いてきたので

「まぁ個人競技でテニスだとかみたいに対戦するわけじゃないから練習試合とかも無いからねぇ」

「そうね、これからの陸上部でイベントって夏休みに合宿でもあるかなぁって」

「オレもまだ高校陸上のスケジュールよく見てないから分からないけど。試合的なのは2学期入ってから新人戦かなぁ?あとひょっとすると夏休み頃にオープンの記録会くらいはあるかもね。あとは草大会みたなのがあればって感じかなぁ」


「よーし始めるぞ。集合」

北川キャプテンの声で部員が集まる。

「今日はテスト明けなんで軽く基礎トレだけで早めに上がるから、その分集中してやるぞ」

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