第44話
中間テスト4日目の最後の物理のテストが終わった。
「中間テストもあと1日だな」
「うん。ケイは今回手ごたえはどう?」
「まぁ、今のところそこそこかな。数学と物理は上位狙えそうな感触。相変わらず文系科目は多分平均くらい。そういう真由美はどうなんだ。今回だいぶ勉強しただろ」
「ん~、自分としては全体に平均くらいかなって。とりあえず赤点は回避できそう」
「ま、とりあえずは高校の初テストだからそんなもんなら十分じゃね」
「あとは明日でテストも終りね」
「だな、勉強会も思ったより良い感じだしな」
「うんうん、加藤さんが参加してきたときは実は警戒したんだけどねぇ」
苦笑いの真由美。まぁ付き合ってる彼氏にアタックするのを公言してる女の子が一緒にってのはそりゃ警戒するだろう。
「さ、最後の勉強会に行くか」
「うん」
テストが始まってからの勉強会は本来半日のところに弁当を作ってもらうのも申し訳ないうえに図書室や学食などの学校施設がのきなみ休みのため学校近くのファミレスに集まっている。ここでランチを兼ねて勉強会として夕方の4時くらいまで頑張っていた。さすがに夕食時まで席を占有するのは申し訳ないのでこのスケジュールだ。
「明日は現代文と化学か。得意分野だから何でも聞いてくれ」
「ケイって理系のクセに現代文得意とか本当に訳分かんないんだけど」
「何とでも言え。小学生の頃から濫読で年間200冊キープは伊達じゃないって事だ」
「え、伊藤君って現代文もいけるの?」
「そうなのよ。ケイってば小学生の頃から理数はほとんど満点で理数系って言われてるんだけど、地味に国語が凄いの。中学の時に受けた模試で理数と並んで国語が偏差値だいたい70超だったんだよね。一度80超えたんだっけ?」
「ウソ偏差値80なんてあるの?」
驚きを隠せない神崎さん。まぁ偏差値の意味知ってたら普通はそう思うよね。
「まぁあれは特例だね。ああいうのは問題が悪い。極端な偏りが出来るような出題だから起きるやつ」
「でも英語とか社会とか割と下位に沈んで平均が下がるのがケイなんだよねぇ」
「真由美、そこで上げて落とすとか」
真由美の頭をグリグリする。
「きゃぁ、やめてぇ」
真由美が笑いながら逃げる。
「こんな話題でまでイチャつくなんて」
神崎さんが頭を抱え、加藤さんの表情が暗くなり瞳のハイライト消えた・・・
「もういいだろ、勉強始めようぜ」
慌てて軌道修正をする。
「ケイ、これって共有結合になる・・・よね」
ちょっと自信なさげな真由美。
「ん、おう、ちゃんと出来てるじゃないか。電子の共有状態が・・・・」
やはり真由美も実力が上がってきている。もう少し自信持って良いと思うんだけどなぁ
「あ、あの伊藤君。この現代文の問題なんだけど・・・」
ちょっと控えめに聞いて来たのは加藤さん。
「あぁそれは、ほら問題文のここに・・・」
説明していると加藤さんが体を寄せてくる。
「ちょ、ちょっと近いよ加藤さん」
「あ、ゴメン。しっかり見ようと思ったら近づいちゃった」
く、最終日だからって狙い始めたな。今の質問だってタブン加藤さんは自力で解けるレベルだ。少し気を付けよう。ふと見ると神崎さんがちょっとニヤニヤして見ている。分かってるなら助けてくれないかなぁ。真由美は、よかった、とりあえず問題に集中していたようで気づいてないないようだ。と、思ったら顔を上げてオレに
「ケイ」
「お、おぉなんだ」
「この長文読解問題なんだけど」
「ん?どれ」
黙読するが、あれ?これって
「あぁこれは無視でいいよ。この問題文の中じゃ答えだせない。問題が悪いってやつだ」
「え?どういうこと?」
オレ以外の3人の声が揃った。
「ん~、この問題に出てる文章の少し前に主人公の行動の理由が出てるんだよ。それが無いとこれは解けない」
「そんなのなんで分かるの?」
「いや、オレ読んだ事あるからさ」
「読んだ事あるって、良く覚えてるね」
「ん、印象的なシーンだからね。まぁそうは言ってもテスト問題としては失格なのでとりあえずは無視で。気になるようなら原作をテスト後にでも読んで見るといいよ。真由美もこの問題で詰まるってのはある意味ちゃんと出来るから詰まるってことだから心配いらないからな」
ニッコリと笑って真由美の頭を撫でながら安心させる。
「こんなとこでまでナチュラルにイチャつかないでよ。私の前でそれは結構なレベルでデリカシー無い行動だからね。わかってる?」
加藤さんがちょっとオコだった。
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