第40話
球技大会1日目が終わり下校途中
「男子ソフトボールは残念だったなぁ」
「最後の山之内の当たりがもうちょっと右か左にずれていれば逆転だったのにな」
「でも、それでも同率3位なんでしょ?」
「あれ?3位決定戦ってやらないのか?」
「相変らず説明を聞いてないんだなケイ。2回戦の段階で同率3位以上確定で3位決定戦はやらないって村上が説明したじゃないか」
「あれ?そうだっけ」
「もう、ルールはちゃんと聞いておかないと」
「そうは言ってもなぁ・・・と、それより女子は凄いじゃん。全種目学年優勝。いやぁ真由美の活躍も見れてオレとしては凄く楽しかった」
「ケイが応援してくれてると思ったら、つい頑張っちゃった」
思いっきり照れる真由美が可愛くて、つい抱き寄せてしまった。
うれしそうに抱きしめ返してくる真由美の頭をなでながら
「明日は、どうするんだ?全試合に出るのはさすがに無理があるだろ。スケジュール的にも体力的にも」
真由美も女子としては体力はある方だが、さすがに連続でフル出場するのはむりがある。
「とりあえずバスケが第1試合なので、それに出て、あとは様子見ながらかなぁ。ケイと兄貴はどうすんの?」
「男子はバレーとバスケだから、基本は全試合」
オレより先に雄二が言いはなった。まぁそうなんだけどね。
「女子バスは1試合目だろ。男子バスは2試合目で少し時間あるから応援いくよ」
腕の中で真由美が嬉しそうに微笑んだ。
球技大会2日目
「今日の最初は女子バスケが2年と女子ソフトボールが3年との対戦です。メンバー準備して・・・」
球技大会実行委員の村上が呼びかけそれぞれに移動する。
「真由美、今日もガンバだ」
軽く抱き寄せ激励する。真由美も抱き付き返しながら
「うん、頑張る」
ちょっと見つめあっていると
「はい、そこキスするんじゃないでしょうね」
安定の神崎さんの突っ込みを聞きながら
「行って来ます」
「行って来い。初っ端から決めてやれよ」
女子バスケの試合が始まった。
初っ端は既にパターンとなったロングシュートから真由美のタップシュートで先取点を決めた。
「いいぞぉ。その調子だ」
真由美の活躍に見惚れ、応援しているとハーフタイム
「どうどう、自分の彼女の活躍にドキドキした?」
飛びつくように抱きついて来る真由美に、抱きとめながら
「上級生相手にリードして折り返し。いい調子だ。頑張ったな」
嬉しそうにオレの胸に顔を擦りつけてくる、なんだか子犬っぽいなと思いながら頭を撫で
「後半はマークきつくなると思うけど、真由美なら大丈夫。スピードでぶっちぎってやれ」
「うん」
ちょっと周りを見回すと、もうオレ達のやりとりにも慣れたのか誰も見て居ない。
そっと頬に唇を寄せて
「そろそろ時間だから、オレは行くよ。ガンバレ」
不意打ちに耳まで真っ赤になった真由美が
「もう、こんなとこで。でもヤル気出た。頑張るね。ケイも頑張って」
一瞬ぎゅっと抱き締めてオレも男子バスケの試合に向かった。
「女子ソフトは3年相手に0対0で頑張ってるぞ」
「女子バスは2年相手にリードでハーフタイム折り返してた」
「おぉ、女子頑張ってるじゃん、オレ達も負けてられないぞ」
女子の頑張りを聞いて盛り上がる男子バスケメンバー
「相手は2年だけど、遠慮なくいくぞ。ビブス4がバスケ部のエース、6がレギュラーらしいから注意な」
「一発目、雄二、ケイ頼むぜ」
「おぅ、まかせろ」
さすがに2年の優勝チームだとエースがいるのか。
ジャンプボールで試合開始。その上背と脚力を生かして雄二がマイボールにする。相手の意識がボールと雄二に向いている間にダッシュでゴールしたに走り込む、そこに雄二が一見無謀なロングシュート。ボードに当りボールが跳ねる。そこに向かって跳ぶ。速攻中の速攻に相手チームは戻りきって居ない。ゴールしたで跳んだオレは余裕でマイボールし、そのままタップシュート。
あっという間の先取点に相手チームは呆然としている。その間にオレ以外のメンバーは自陣に戻り
「ディフェンス1本。守るぞ」
敵チームがボールを無造作にフィードしたのを飛び出してカット、そのままジャンプシュートを決める。
この2本のシュートでオレにマークを集める。出来れば現役バスケ部員がマークに付いてくれれば他のメンバー特に雄二が自由に動けて有利だ。
そのあとは思惑通りバスケ部レギュラーがオレのマークについてくれた。が、エースはこっちに来てくれない。どうやらもう少し暴れないとマークを集め切れないようだ。そのエースは進学校とは言えさすがにエースと言うだけあり、動きに切れもスピードもあり素人の集まりのオレ達ではまともにやっては相手を出来るものではなさそうだ。となるとどうにかして隔離するしかないんだけど・・・
やっぱりオレに2枚マークつけてくれないかなぁ・・・
なんとか32対29の3点リードでハーフタイム。しかし追い上げが激しく、このままだと後半で逆転されるのは目に見えている。そこで
「なぁ、後半最初の3、4本、誰がマイボにしても即前線にフィードしてくんね?マイボになった瞬間に全力ダッシュでゴール下に入るから」
「なんで、そんな無理を・・・」
「とりあえず相手に警戒させたい。できればオレに2枚マーク付けさせたい」
「そんなことをしたら伊藤が動けなくなるんじゃ・・・」
これまでのポイントゲッターに厚いマークを付けさせるてのは普通はやらない、むしろどうやってマークを外すかを考えるのが常道だろう。
「相手には本職のエースがいる。これはいくらなんでもマッチアップ無理。なんでマークをオレに集中させて数的優位を作って、攻撃はこれから雄二中心でポイントを・・・」
まぁそれでも本職のエース含めたレギュラー2人のいるチームに勝つにはかなりの幸運が必要だろうけど
なんとかマークを2人引き受ける事はできたものの、さすがにジリ貧。
「「「「「ありがとうございました」」」」」
結果43対48で負けた。
「「「あぁぁ、負けたぁ」」」
「まぁバスケ部の現役エースとレギュラーのいるチーム相手に健闘したほうだろ」
「それにしても現役レギュラーと互角とかおまえ本気で異常だろ」
村上が絡んでくる
「オレのは単に足でかく乱してるだけだから。テクニック勝負になったら相手にもならんよ。それに、それ言い出したら雄二だって現役エースと何度もマッチアップしてただろ」
「なんにしても、おまえらふたりのおかげでワンサイドにならずに済んだ。とりあえず女子にも顔向けできるくらいの結果だ」
そこに
「森川君と伊藤君だったかな?」
声を掛けてきたのはバスケ部エース、たしか山川先輩と言ったかな
「「はい?」」
「球技大会が終わった後で少し時間もらえないかな」
球技大会は結局、男子はバスケットボール総合3位、バレーボール総合2位、ソフトボール学年3位、女子はなんとバスケットボール総合優勝、バレーボール総合2位、ソフトボール総合2位と上々の結果で、村上が
「打ち上げしようぜ」
と明るい声をあげた。
「ケーイ、打ち上げ行こう」
SHLが終わり帰り準備をしていると真由美が抱き付いてきた。
「あぁちょっと先に用事済ませていく」
「用事?」
小首をかしげる真由美が可愛いので抱きしめながら頭をなでておく。
「山川先輩に呼ばれててさ」
「山川先輩って?」
「バスケ部の2年生エース。今日の試合の後で雄二とふたりに話がしたいって言われたんだ。まぁ内容は予想できるけど」
「予想って?」
「まぁ勧誘的な?それとも助っ人的なかな?特に雄二は背も高いしな」
山川先輩との話を終えた雄二とオレのふたりが駅前のカラオケボックスに入ると
「二人ともおっそーい。もうみんな部屋に入っちゃってるよ」
「真由美も先に中入ってて良かったのに。もう始まってるだろ」
真由美の腰に手を回してクラスメートの集まっている部屋にむかった。
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