第39話
女子バスケットのコート横まで真由美を送って行き
「がんばれよ。応援してるからな」
と送り出す。
「うん、頑張る」
頬を少し上気させながらチームに混ざって行く真由美を見送る。
なにやら女子バスケットチームの面々が盛り上がりながら真由美に話しかけている。真由美が耳まで真っ赤になっているが雰囲気は良いので大丈夫だろう。こうしてみると真由美は頭一つ近く周りより背が高い。バスケットやバレーに限らずスポーツでは有利な面が多いだろうな。
時間になりコート中央に集まる選手たち。やはり真由美がセンターに残りジャンプボールで試合が始まった。ボールをタップし危なげなくマイボールとして試合を進める。
「B組ファイトー」
真由美個人を応援したいけれど、照れくさいのでとりあえずチームを応援する。
チームリーダーの松山楓さんがゆっくりとドリブルでボールを運ぶ。ふと見ると、真由美はその間にスルスルと相手陣内に入り込んでいた。そこにいきなりロングシュート。バックボードに当たったボールはリングに入ることなく跳ね返り、ジャンプしてマイボールにした真由美がそのままタップシュートを決めた。これは狙っていたかな。
「真由美ナイッシュー」
チラっとこっちをみて照れながら手を上げてこたえる真由美。やっぱり真由美は可愛いな。と頬を緩めながら応援していると、神崎さんが寄ってきた。
「ふふふ、真由美ちゃん伊藤君が応援してるから張り切っちゃってるねぇ。どう、可愛い彼女の運動着姿。伊藤君そそられちゃうんじゃない?」
「あのなぁ。真由美の運動着姿なんか部活で散々見てるての」
むしろ陸上のユニフォームの方がキワドイまである。
「そういうのとは違うと思うんだけどなぁ。まぁいいや。それはそうとねぇ伊藤君」
「ん。なんだ?」
「雄二君に彼女が居るって噂があるんだけど。何か知らない?」
神崎さん耳が早いな。さて、なんと答えようか。はっきり言ってしまうには、まだ早い。でも俺が何も知らないってのは流石に不自然か。
「ん~、まぁなんとなく彼女いるっぽい感じはするかな。まだオレにもはっきり言わないから微妙な感じなのかなっては思うけどね」
ま、こんなとこか。否定せず完全に肯定せず、微妙な噂になるように・・・
そんな話をしながら見ていると、さすがに真由美のマークがきつくなり、最初のように自由には動かせてはもらえない。その分他のメンバーのマークが甘くなっているけれど、そうそううまくは回らないか。真由美も動きにくくてつらそうだ。
ハーフタイムに近くによって
「真由美、おつかれ。序盤に活躍した分、マークがきついな」
「あ、ケイ。そうなのよね。なんとかならないかなぁ」
「あぁうん、まぁアイデアが無いわけではないけど・・・」
「わ、教えて」
「ん~、向こうのチームにお前より足の速いヤツ居る?」
「え?た、タブンいないかなぁ」
ちょっと照れながら返事をする真由美が可愛いので、頭を撫でておく。
「ふぅ」
一息
「なら、走れ」
「え?」
「いくら真由美でも専門で練習をしたわけでもないバスケットで難しい技術や戦略は使えないだろ」
「それは、まぁ、うん。無理」
「なら真由美の最大の武器は、その足の速さだ。相手より先にゴールに向かって走って、そこでボールを受けてシュートするんだ。ガンバレ。大丈夫真由美が一番速い」
「うん、頑張る」
ハーフタイムの終了の合図でコートに向かう真由美に手を振った。
そこからは、真由美が走り舞い飛んだ
「64対46で1年B組の勝ち」
「「「「「「ありがとうございましたぁ」」」」」
「「「おつかれぇ」」」
「ケイ、あたし頑張ったよ。見てた見てた?」
飛びついてくる真由美を抱きとめ
「おぉ見てたよ。がんばったな」
頭を撫でながら労う。
「「「うぅいいなぁ彼氏・・・」」」
若干の怨嗟と羨望の篭った声を聞きながら蕩けたような笑顔の真由美を抱きしめる。
「うん、あたし頑張ったのぉ」
さらにスリスリと顔を擦りつけて甘えてくる。こいつ今回は際限ないな・・・
このパターンだとそろそろ神崎さんが・・・
「あぁぁとうとう学校でまでぇ」
「いや、このくらいは以前から」
「違う、明らかに違うぅぅ。これは事案よぉ」
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