第31話
「ん~、指は痛くなくなってきたけど、コード練習飽きてきたなぁ」
「え、あたしは楽しいよ。ケイって飽きっぽいとこあるから、それでじゃない」
「真由美は、何やってもコツコツ練習を楽しんでるよね。俺はもう少し刺激ってか変化が欲しいなぁ」
「でもこのコードが弾けるようになれば曲を自由に弾けるって思うと楽しいよ」
真由美のいう事も分かるんだけど……
「せんぱーい、何か基礎練習で変化つける方法ないですか?」
「そろそろそういうだろうなぁって思ってたよ」
「神無月先輩。じゃぁ何かあるんですか」
「まぁ、あるって言えばあるし、無いって言えば無いかなぁ」
「えと、どういう……」
「まぁ、ギターを弾きたいって思った理由の再確認みたいな?」
「更に謎ですが」
「まぁ簡単に言ってしまえば、1曲弾いてしまおうってこと。タブン弾きたい曲があって、ギターを弾こうって思ったんじゃないかな?なら1曲でいいから弾いて見ようってこと」
「どんな曲でも良いんですか?」
「良いよぉ。どんな曲でも1曲弾けるようになると楽しさ変わるからね。伊藤君なら例の曲でも良いんじゃないかな」
「例の曲って」
「ミニライブでも歌ってくれたでしょ。フォーチュンクエストのライトフライヤー」
「でも、フォーチュンクエストはガールズバンドで……」
「大丈夫大丈夫、好きな曲なんでしょ。伊藤君は自分でも歌えるんだしむしろ練習曲としては最適よ」
「そうなんですね。じゃぁ楽譜を手に入れないと。楽譜ってどこで手に入りますか」
「そうね。楽器屋か本屋かしら、そこで見つからなければネットで探してもいいわね」
「ありがとうございます。じゃぁ今日の帰り道にでも本屋によって見ます」
「そう、じゃぁ今日は一緒に帰りましょう」
「え?でも先輩の帰る方向とは大分違いますよね」
「大丈夫大丈夫、本屋によるくらいの遠回りくらいは平気よ。それに楽譜を探した事ある?」
「え?いえ探した事は無いです。でも楽譜探すくらいは……」
「ギター譜は、初めてだとちょっと探しにくいわよ」
「そうなんですか?ん~、じゃぁ申し訳ありませんがお願いします。真由美も手伝ってくれる?」
ここで真由美に声を掛けるのは平穏な日常を営むための生活の智慧。
「ん、いいよ。むしろ、置いていったら泣く。てか怒る」
ちょっと顔が引きつるのを感じながら
「おぉ、頼むな」
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