第27話
登校中
「昨日の加藤さんには驚いたね」
「うん、まさか翌日に、しかも陸上部のマネージャーになんてね」
「で、ケイはどうするの」
「どうって言っても。正直言ってどうしたら良いのか今でも分からないよ」
「じゃぁ加藤さんを受け入れちゃうの」
「そうじゃないよ、そうじゃないけど。部活である以上、来るなっては言えないだろ。オレ自身が距離を置く以上のことは何したらいいのか……。真由美は何かアイディアある?」
「う、そうなんだよね。正式に入部されちゃうと。でもケイだけのためのマネージャーってのは許されないから、そこあたりかなぁ」
「おっはよぉおふたりさん。今日もアツアツだねぇ」
「おはよ、神崎さん。今朝はそういう気分じゃないんだよ」
「あはは、さすがのラブラブバカップルも加藤さんの攻撃にタジタジってとこかな?」
ムフフって感じで笑いながら近寄ってくる神崎さんに
「もう知ってる」
まったくどういう情報網持ってるのか
「神崎さん、アラートなかったのは?」
ん?何か真由美が神崎さんに詰め寄ってるな
「ごめんって。だって加……が……てのは……だから」
「だからって、ケ……の……きだっての……だめ……」
なにやら不穏な雰囲気を感じるので聞こえないことにしよう。
「ところで雄二のとこには突撃はないのか?」
少々げっそりしている親友に声を掛けて見る
「彼女持ちのお前にさえ行くのに、無いと思うか?」
「でも、おまえの場合付き合ってる彼女が居るわけじゃないし、よさそうな人が居たら付きあって見るってのも手じゃないか?それとも本当は好きな人でもいるのか?」
「別に他に好きな人が居るわけじゃないけど。あの勢いで来られると……正直なところ『引く』」
「ぶっ」
おもわずふきだしてしてしまった。
「笑わなくてもいいだろう」
「ま、まぁわからんではないけどな」
教室につくと
「あ、伊藤君。おはよぉ」
「加藤さん、クラスが違うのに」
「え?山ちゃんにノート借りに来ただけだよ。あ、山ちゃん。ノートありがとうね。昼休みまでに写して返すね。で同じ部活の伊藤君を見かけたからアイサツしただけよ。あと幸枝って呼んで欲しいな」
「そ、それなら真由美も雄二もいるんだけど。それにいきなり名前呼びとか無理だから」
「え、あ、気づかなかった。おはよぉ雄二君、真由美ちゃん。呼び方はなれたらでいいので、そのうち名前で呼んでね」
横にいる二人に気づかないとか無いと思うけど、何か不穏な感じがしたのでそれ以上突っ込むのはやめておいた。のに……
「やっぱり好きな人は特別に見えちゃうね」
ぐ、教室でこの爆弾は……
「か、加藤さん。一昨日も言ったように俺は」
「うん、わかってる。だけどあたしが伊藤君を好きなのは変わらないから。じゃぁまたね」
加藤さんは言うだけ言って教室から出ていった。
当然
「おい、ケイ。おまえ真由美ちゃんと言う彼女がありながら何加藤さんにまで手を出してんだよ」
「おまえいつの間に、加藤さんと仲良くなってんだ?」
「おまえらばかりがなぜ……」
勘弁してくれ……
「加藤さんから告られたのは認めるが、おれはお断りしたんだ」
「ならなんで、あんななんだよ」
「知るか。諦めてくれないんだよ。むしろ出来るならなんとかしてくれ」
はぁ、こないだまでは真由美とラブラブで幸せなだけの学校生活だったのに……
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