第25話

「1年E組の加藤幸枝です。未経験ですが、がんばりますのでよろしくお願いします」





「加藤さん、なんで……」

「あきらめないって言ってたけど、振られたその翌日に」

オレも真由美も状況についていけずに呆然としていると……

「特に伊藤君、サポートまかせてね」

ウィンクひとつで爆弾を投下してきた。

周りがザワつく。

「「「「修羅場?修羅場なの??」」」

先輩女子の食い付きがひどい。

「なんで、いきなり伊藤がもててるんだ」

「え~、わかんないの?1年でいきなり地区入賞する運動神経。それに一部の女子の間では有名なんだけどKKシーズンのミニライブで歌った新人なんだよ。この学校に来てる時点である程度頭が良いのは分かってるし」

げっ、陸上部の先輩にまでバレてる。

「だから2、3年女子の人気投票4位」

「伊藤がハイスペックなのは認めるけどな。これだけべったりの彼女持ちなのに狙う?」

「好きになっちゃったんだから仕方ないでしょ。先輩」

加藤さんが割って入った。

「でも、あれ見ても狙おうって思える?」

オレに抱き付いている真由美と優しく抱きしめ返しながら頭を撫でるオレをさしながら先輩が諭す。

「う、あのふたりのバカップルぶりは聞いていたけど、聞いていたけど……聞いていた以上に……」

「な、さすがに無理だって」

「いえ、諦めません。諦めたらそこで可能性はゼロになりますけど諦めなければゼロではないんですから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る