第22話
ゴールデンウィーク明け。気だるさを感じながらの午前中の授業が終わり昼休み
いつも通り真由美と雄二と一緒に弁当を開いたが
「なぁ。なんか上級生が多くないか?」
どうも廊下から上級生らしき女生徒がひっきりなしに教室を覗き込むので落ち着かない。
すると真由美が
「たぶんなんだけど」
「ん?」
「なんでも、この学校って2、3年女子が新入生男子の人気投票するのが恒例なんだって」
「人気投票?それで?」
「それでお気に入りの男の子を探してるんじゃないかなと」
「真由美はそんなこと良く知ってたね」
「その、実は朝から何人かの上級生に聞かれて……」
「まぁこのクラスって村上とかイケメンいるからなぁ。あ、雄二とかも聞かれたんじゃないか。顔も割と整ってるし、背も高いし」
「え?オレ?」
「おまえ、自覚無いのな。結構見た目整ってるぞ。もう少し女の子に気を使ってしゃべればモテルと思うんだけどな」
「うん、村上君とか兄貴とか何人か聞かれた……」
なんか真由美の歯切れが悪い。
「ひょっとして意外な人気者がいたとか?」
「え?ううん、そんなことないよ」
「ふうん。それにしてもうちみたいな進学校でもそんなのあるんだな」
数日後。いつもの通りに3人で弁当を開いていると
「なぁ、なんかまた上級生の女子が増えてないか?」
「う~ん、人気投票の結果かもね」
「誰を見に来てるんだろうな。やっぱり村上かな。雄二かな」
「さぁ、どうだろうね」
どうもこの話題になると真由美がギクシャクする。ブラコンてことは無いと思うが、自分の兄貴がもてるってのは複雑なのかな。
「じゃぁアップするよ」
北川正志キャプテンのリードで部活が始まった。専門別のメニューに移る前のアップは全員で行う。いつもの3人かたまってアップしていると京先輩が近づいてきて
「雄二2位、ケイ4位」
「「「は?」」」
3人声が揃った。
「いやぁ、まさか陸上部1年生から2人もランクインするとは。さすが大会入賞者って肩書きは強いね。ケイなんか彼女持ちってわかっててもこれだもんねぇ」
「京先輩、ランクインって?」
「毎年恒例の2.3年女子による新入男子人気投票の結果だよ」
京先輩がおもいっきり良い顔で言い切った。
「いやぁゴールデンウィーク前まではケイは彼女持ちってことでランク外予想だったんだけどねぇ。ゴールデンウィーク明けたら急に票が伸びてね。ゴールデンウィークに何かやった?」
頭を抱えることになった。ゴールデンウィークといえばKKシーズンのあれしかないだろう。当分おとなしくしていよう。
ふと見ると、何か不安そうな真由美が目に付いた。
「そっか、真由美は上級生にオレの事を色々聞かれてたのか」
「うん、さすがに嫌がらせとかは無かったけど、きれいな先輩とか来たから……」
「そか、不安にさせてごめんね」
真由美をやさしく抱き寄せて
「大丈夫、オレの彼女は真由美だけだよ」
真由美から力が抜けて体をあずけてきた
「うん、ケイ信じてる」
それを見て京先輩が
「あぁ、まぁ事情は分かるけど今部活中ね。」
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