第17話

 「おはよぉ。ケイ朝だよぉ」

まだ目覚めないボーっとした意識の中うっすらと目をあけると真由美の顔がみえた

なんとなく手を伸ばし抱き寄せると

「きゃっ、もういきなりびっくりするじゃない」

声を聞きながらやわらかさを感じる

『ん???』

「あれ?真由美?え?本物??」

あわてて起きると

「おはよ、もう朝だよ。そろそろ起きないと遅れるよ」

にっこりと微笑む真由美がいた。ちょっと上気した顔が可愛い。

「なんで、真由美がオレの部屋にいるんだ?」

「ん~なんとなく?」

小さく首をかしげる。

「なんとなくで部屋に来られても困るんだけど」

「えへへ、本当は迎えにきたら、おばさんに起こしてきてって頼まれたの」

時計を見るとまだ6時30分にもなっていない

「あと30分寝る」

ふとんを頭からかぶり目を閉じた

「むぅ、じゃぁあたしも一緒に寝る」

ふとんが少しめくられたのを感じ、真由美が入ってきたのが分かった。

「お、おい何してんだよ。男のふとんに一緒に入ってくるとか何考えてんだ」

「うふふ、ケイと一緒におふとんの中~」

「あのな、そういうことしてたら襲われても文句言えないんだぞ」

真由美は、きょとんとした顔をしたと思うと。抱きついてきて、耳元で

「ケイになら襲われても良いよ」

「な、ばか。そんなこと……」

秒でふとんから飛び出した。

「ふふ、ちゃんと起きたね」

「おまえ、冗談にしても悪質だぞ」

「……半分は本気だったのにな……」

「ん?何か言ったか」

「なんでもな~い。だいたい起こしに来た彼女を30分も待たせるつもりだったわけ?」

「う、ごめん。朝のふとんの誘惑には中々勝てなくて」

「知ってるわよ。だから毎朝遅刻寸前なんでしょ」

「う、ぐぅの音もでねぇ」

「これから学校行く前に起こしに来てあげようか」

「え、いいよ。そんなの」

「そしたら一緒に学校行けるし」






「いいんじゃない。あんたお母さんが起こしても起きないし。今朝の感じだと真由美ちゃんが来たら直ぐ起きるみたいだし。あ、そうだケイを起こしてくれるなら、よかったら真由美ちゃん朝ごはんは家で食べてちょうだい。そうしたらケイが朝ごはん食べてる間待ちぼうけさせなくて済むし」

「わ、うれしぃ。ぜひご一緒させてください」

真由美が目を輝かせた。

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