第15話

「「「「真由美ー、がんばれー」」」」

『オンユアマークス』

『ゲットセット』

『バン』

スターターピストルの破裂音が響くと各コーナーから一斉に飛び出すように走り出す選手達

女子200m決勝。予選、準決勝と危なげなく勝ち抜いた真由美は7コースからスタートした。ホームストレート入口ほとんど差が無い状態から徐々に差がつき始め、2,3年生を相手に健闘したもののさすがに受験明け直後の1年生というハンデは覆しきれずそれでも5位入賞。

座席に戻ってきた真由美はそれでもやや悔しそうな顔で

「5位でしたぁ」

と笑った。

俺は何も言わず、コブシを掲げ真由美につきだした。

真由美もコブシを握ってコツンと当てて、少し顔をゆがめると胸に向かって頭をぶつけてきた。

そう、こいつもアスリートなんだ。相手が2、3年生だろうと自分が受験明けであろうと負ければ悔しい。

だから何も声をかけず、ただ抱き寄せて背中をポンポンと叩いて慰めた。まだ折れていない彼女が愛しく眩しかった。









「京、なに泣きそうな顔してんの?」

「え?純ちゃん何言ってんの?なんで、あたしが泣くのさ」

「だって……ううん、そうねきっと気のせいよね」

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