第11話
「おはよぉ」
「あ、神埼さんおはぉ」
「真由美ちゃん、今日はひとりで登校したの?」
「え?いつもどおり兄貴とだけど?」
「はぁ……、ケイ君とお付き合い始めたんだから一緒に来るかと思ったんだけどなぁ」
「ケイと一緒じゃないと何か問題あるの?」
「ううん、そうじゃないけど。付き合う前と普段の距離感あまり変わらないのかなぁって」
「えと……さすがに幼馴染として付き合い長いのでどう変えたら良いのかわかんないとこもあるのよねぇ。でもこれからはデートとかもしたいなぁ」
「さすがプライベートで二人がデートするのは別に良いけど、学校で今まで以上にベタベタすると風紀的に問題でるだろ」
横から村上が笑いながらチャチャを入れてきた。
「前からナチュラルに抱き付きあってるような二人のそれ以上っていったら」
「まぁねぇ。以前もあれで付きあってないってのは無いでしょってレベルのスキンシップだったしねぇ。実は教室でキスとかするんじゃないかってちょっと不安だったんだよ」
「えと、そんなに変だった?」
自覚のない真由美に
「はぁ……みんなからはバカップル認定されてたの気づいてなかったのね」
「え?神崎さんそれ初耳なんだけど」
「やっぱり自覚無かったのか」
そこへ
「よーし、今日は余裕でセーフだ」
「あ、ケイおはよぉ」
「お、真由美おはよ」
さっそく抱き付いて行く真由美と嬉しそうに受け入れるケイを見て
「「「「はぁ……やっぱりバカップル」」」」
ひとしきり抱き合って満足し
「ん、どした?」
「いや、あんたら相変らずバカップルだって言ってただけ」
「神崎さん、いきなりひどいなぁ。それに相変らずって、オレ達付き合い始めたばかりで、相変らずとか言われても……」
「「「「おまえらそろって無意識かよ」」」」
「そういえば、おまえら陸上部で今度の大会出るんだって?」
「おぉ、なんで村上が知ってんだ?」
「森川が、そんなこと言ってたからな」
ケイが真由美を見ると。首を横に振って兄である雄二に目を向ける
「あぁちょっと雑談の中で話したぞ。別に良いだろ」
「悪いわけじゃないよ。ちょっと驚いただけだ。雄二そういうことあまり人に話さないタイプだからな」
「へぇすごいじゃん。この時期に1年で大会出場って強豪高とかでスカウトされたような選手くらいなんじゃないの普通」
「いや、むしろ強豪高は選手層厚いからそういうことしないからね。なんか先輩が暴走して空いてた出場枠に放り込んだらしい」
「暴走って、でその大会っていつなの」
思わずふきだし掛けながら神崎さんが聞く
「ん、今週末だな。オレは800だから日曜10時半頃が予選。真由美、雄二。おまえらはいつだっけ」
「オレは5000だから、日曜の12時発走予定だな」
「あたしは200だから土曜の10時が予選。12時が準決勝で決勝が3時の予定だね」
「真由美はあいかわらずナチュラルに決勝進出前提かよ」
「え~?ケイだって予選敗退のつもりは無いんでしょ」
「あの、その予選とか決勝とか何?」
「あぁ神崎さんは陸上の事知らないんだっけ。陸上って800mまではセパレートコース使うので一度に8人までしか走れないんだよ。で、大勢出場者がいるから出場者の人数によって予選とか準決勝とかやんの。大きな大会だと1次予選、2次予選、準決勝、決勝とかやるんだよ。まぁ高校の大会だとそこまでは中々ないけどねぇ」
「え~、じゃぁ真由美ちゃんは200mを3回、伊藤君は800mを2回も1日に走るの?」
「そだよ。っても予選とかは通過すれば良いので出来るだけ体力温存するように調整するけどねぇ。ま、厳密に言えば予選タイムで次のコースが決まるから決勝進出者の中でタイム1位も出来れば狙いたいって人もいるけどね。オレはそこまで気にしないかな。それにオレ達今回は1種目だけだから楽だしねぇ」
「1種目だけだからってどういう?」
「あぁ神崎さん、オリンピックなんかで有力選手がいくつかの種目で出場してるとかあるの聞いた事無い?100m、200m、400mリレーでとか。それをケイは中学時代800m、1500m、3000mの3種目出場とかしてたから、それを言ってるんだよ」
「へーそうなんだ、……ん???伊藤君の出場3種目ってきつくないそれ?」
「まぁ中学生で、この3種目出場ってあまり聞かないのは確かだねぇ。オリンピックとかインターハイでも全国大会みたいにある程度の大会期間があればまだしも中学とか2日で全日程だからねぇ」
「まぁいいじゃねぇか雄二。そんなの細かく言わなくても。陸上関係者以外にはどうでもいいだろ」
「ふーん、でも1年でいきなり大会出場かぁ。よし、応援いってあげる。」
「おぉ?いきなり???」
そういうと教室中に聞こえる声で神埼さんが呼びかけた
「はーい、みんな聞いて。このクラスの伊藤君と森川兄妹が今度の土日にインターハイ予選に出場するそうなんでみんなで応援に行きたいと思います……」
「ちょっと神崎さん、そんな大げさに……」
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