お姉ちゃんのテント
遠野 歩
おるすばん
日よう日の朝、りつこは、お母さんにおるすばんをたのまれました。といっても、お母さんの
※
「すぐ…かえってきてね」りつこは、
りつこは、おそうじだっておつかいだって、ひとりでちゃんとできます。でも、おるすばんはまだしたことがありませんでした。
それに、すこしの
「うん。なるべくね。大家さんのおじいちゃん、お
そして、あわてた
※
りつこが、
「おがああさーん。ぎゅーにゅー、じょーだいっ!!」
弟のまもるです。今年の春から
まもるは居間のほうにやって来て、
「あれ、ネエネだ!おがあは?」
「いま、大家さんのところだよ。だから、それまで ふたりでおるすばん。いーい?」
「わがった…ぎゅーにゅー、のみたい」
※
「
おそるおそる開けてみると、いやなにおいが
「やだ、くさってる」
しかたなくキッチンの
「ネエネー。テレビこわれた。ごろすけマンが出てこない」
と、まもるの
もしかして……
りつこは、部屋中の
「どうしよう…」
「お母さん、すぐにかえってくるし。
今日は…お天気だから電気つけなくても
うん。
しばらくしてまもるが、
「ごろすけマン、みられらない。ツマラナイ、ツマラナイ」と、だだを こねはじめました。
「じゃあ、絵本は?」
「ぜんぶみた」
「じゃあ、いっしょにお
「ネエネ、ひとりで、ボクが知らないお歌ばっかりうたって、ボクのこといじめるからイヤだ」
「はい。はい…じゃあ、マモは何したいの?」
まもるはちょっと考えてから、
「ボク、キャンプ!」と
※
りつこは
「マモ、ちょっと
「エッ。なんでもいいの?」
「そう。お花とか お
「うん。ボク、オリオン
「それから、あれとあれを持ってきて……」
りつこも、だんだん
ふたりは、もくもくと
「よし。マモ、おいでー。かんせーい」
りつこの
※
「うわー」まもるは、目をぱちぱちさせて、上をみあげています。
そこには、たしかに
「えー、こちらの
りつこは、
「ねー、マモル…」
「ネエネ!この
「あ…さっきの
あとは、
※
「
「だって、まっくらだよ」
「懐中電灯は?」
「あ、そっか」
テントに、パッと
「わー、ひみつきちー!」
きちの中には、お母さんがりつこのために
「ボク、このウチだいすき。
ネエネ…ピーターパンのお話してよ」
「いいよ。でも、その前にもうひとつあるんだ。
マモがさっき切ってくれた紙と、このカラーセロハンでね。
ちょっと、懐中電灯かしてみて!」
※
色のない天井に
「ネエネ、ありがとう!」
「ううん。こちらこそ。マモもがんばったんだよ。ほら。あのすなどけい…」
「オリオン座……」
まもるは目をつむって、星空の
※
「ただいまー」
「あっ お母さん!」りつこは、
「おかえりなさい」
「ごめんねー。きのうのよる、
いまも
あれ、まもるは?」
「こん
りつこがそう言うと、お母さんは、ぱっと
「ありがとう。りっちゃんおねえちゃん。来年から小学生だねっ♪」
(おしまい)
お姉ちゃんのテント 遠野 歩 @tohno1980
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