記憶が曖昧な時代の記憶
第4話 幼き私の住まう場所
幼き私は一戸建ての借家に住んでいた。
こう言う形態の借家が昔はよくあったのかわからないが、広い敷地のまわりを大きな木が囲んでおり、その中に数軒の家が建っている。
入ってすぐには大きな広場もある。
同じ大家さんの持ち物らしい。
私の家は敷地に入って右手側2軒目。
家の前には広場が広がっている。
お隣は和田アキ子さんに激似のスタイルの良い奥さんと熊のような体形で髭を蓄えた当時流行の黄色いフォルクスワーゲンのカブトムシに乗った若夫婦。
反対隣は記憶があまりないので交流が無かったのだろう。
広場を囲むように斜め向かいに2軒建っている。
手前側の家には同じ年のヒロくんと妹のマミちゃんが住んでいた。
お父様は自衛隊の教官だったと記憶している。
お母様は専業主婦。
同じ専業主婦の母とよくおしゃべりしていた。
下手したら子供の私たちが遊び疲れて昼寝する時もどちらかの家に行って日がな一日一緒に行動していたように思う。
ヒロくんちの奥の家にはカメラが趣味の青年が住んでいた。
時々、幼い私は彼の被写体に成っていたみたいだ。
よくわからない写真がたくさん残されているので。
どんな人物だったのかは記憶に無いのだが、穏やかな人だったように思う。
そして、彼女さんがとても美人で優しい人だった。
その広い敷地に接する道路を渡ると日立の電気屋さんと薬局があった。
どちらも朗らかな方達で、幼い私はその薬局のおじさんやおばさんからケロぴょんの人形をよく貰った。ゴム製の指人形やプラスチックの貯金箱。
余った販促品だったのかもしれないし、母がお得意様だったのかもしれない。
ケロぴょん自体を好きとか嫌いとかそう言う特別な感情は当時無かったのだが、今となってはケロぴょんを見ると何となく心穏やかになるのはそのせいかもしれない。
幼き日を思い出すキャラクターの1つだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます