[ネタ]潜む

「今日は、曇りだねぇ」

 何でもない一言は、すなわち、何でもない日常会話である。

「そうだな」

 ただし、発言者の隣には、あるいは前にも後ろにも、誰もいない。

「ねぇ、ほんとに陽を浴びたら蒸発するの?」

 誰もいない。

「うん」

 誰も。

「じゃあ雨の日は?」

 遠くに誰かがいる。

「夜くらいの方が、楽だな」

 恨めしそうな言葉は、若干上に向けられて。

「ふーん?」

 問いかけた者は、そこから何も口にしなくなった。


◆◆◆◆


 日差しを浴びると蒸発するって、吸血鬼によくある設定ですが、どれくらいなら平気なのかなぁ、とか。

 曇りでも注意しないとダメならば、多分出掛けることどころか窓辺にたつのもだめですよね。どうなんだろ。個体差があるにしても、微妙な差で蒸発するのはなんだかかわいそうですし。

 ネタに振るなら使えますかねぇ、こんなのは。

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