[創作]自分の分身とは言えども

 キャラクターは作者の分身であり、彼らの体験したこと以上のことは、基本的に飛躍できない。

 という言葉はちょくちょくと目にするかもしれませんが、キャラクターといえば、それだけではないでしょう。

 性格、嗜好、体格といった部分は、果たしてこれに該当するのでしょうか?


 もちろん、キャラクターを大量に抱える人は多重人格なのか、といえばそうでもないし、歪んだ性格のキャラは歪んだ癖を持っているからこそ作れた、というものでもありません。

 いや、一部はそうなんでしょうけれど、基本は違いますよね。

 あなたはあなたという人格があって、そこからキャラクターが何を思い何をなすのかを決めるはずです。そのライバルが悪逆非道でも、実際に手を染めて体験してみた、なんてできようもんなら世の中地獄の真っ只中です。


 嗜好に関してはわずかでも反映されるのは当然として、では性格や体格といった、どちらかというと体験には類さないものはどこから作られているのでしょう?

 究極のところ、これは経験なのでしょう。体験とは違います。具体的に言えば、経験は鑑賞、体験は行動、といったところでしょうか。


 例えば登山をテーマにあつかった時、登山をしますよね? 鑑賞はしません。体験です。この体験から注意点や楽しみなど、内容を書き出します。

 一方で、悪役を作るときは、何を調べますか? どうして彼か彼女かが悪役たるかを決めて、どうしてそこに至ったかを構築しますよね。体験はしません。これまで見てきたもの、これから鑑賞するものから設定を練っていきます。


 リアリティー溢れることを描くならば、体験を。情緒溢れるものを描くならば鑑賞を、ですかね? 言葉を借りるならば、数多の作品から要素を抽出し作り出したものは、もはやオリジナルである、というやつですね。

 製作にはどちらも欠かせませんね。特に心情描写を描きやすい小説では、語彙を増やすことも含めて、色々な性格というものを読み解いていくことが、オリジナルになれる近道なのかもしれませんねぇ。

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