[短編(市場)]得物を揃える

 市場には少なからず、武器やら防具を扱っている場所がある。一番の客はもちろん傭兵で、次点は腕っぷしの強いストリートファイター、はたまた裏の者たちだ。

 だが護身用にと手軽なものを買い求める者も少なくはない。その証拠に、この店舗の中には様々な者たちがあたりを見渡している。

 手先が器用ではない四脚類から、片腕のない者まで。もちろん見ているものは全く異なるが。

 そんな中、訪れたのは立脚類の二人の竜。一方は背の高い土竜で、もう一方は、彼よりもふた回り程度小柄だ。

「なんで、ここに?」

 小さい方が見上げながら尋ねれば、

「祭に、出るんだろ? 昨日、装備を見てたら、劣化しててな」

 大きい方はすぐに短剣の並ぶ棚へと近寄って、じっと上の方を眺め始めた。

「父さんが手入れを忘れるなんて、珍しい」

 追いかける少年は追いかけながら、きょろきょろと。

「もう、傭兵は辞めたからな。あのときのように無理はできなくなったから、仕方ないだろ。使わないものはあっという間に劣化するもんだ」

 と、少年の目に一つの短剣が目についた。父と呼ぶ彼の、股に巻かれたベルトで固定されている鞘に納まっている。

 これは、と指でつつきながら聞いてみれば、

「そいつは大丈夫だ。それだけはちゃんと、手入れもしているからな」

 なんでもない短剣だ。視線を脇にそらすと、同じような柄があって、安物ではないが、高価なものでもないようだ。

「おまえも何か要るものはないのか? 祭に参加するなら、怪我をすることだってある。備えるだけ備えろ」

 そうだった、と目を真ん丸に開いた少年は、だったらあれがいい、と父を見上げて提案する。


◆◆◆◆


 ぶっちゃけ、武器も防具も高級品ですよね。これの専門店がある、というのはなかなか豊かな国とかでないとできないことですよね。

 市民、または居候に渡せるだけの資源があるってことですよ。ゲームならシステムの都合で終わりなんですけども。


 その昔は、武器の製造ってのは国相手のことが多いと考えると、ねぇ。個人で扱えてるとかすごいですよね。

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