[ネタ]通称をつける

 通称とか、同じことをする者をひとまとめにして呼ぶとか。どんな作品にもそういった固有名詞って出てきますよね。

 主人公やその取り巻きの名前は当然として、出てくる組織から自然現象まで。基本的に共通の認識という土台から逸脱しているものには全て、なんらかの呼称を持たせるものです。


 さて、よく考えられる問題は、どんな名前にしよう、というつまづきが多いことが予想されます。しかし実のところ、何に与えるなら適当なのか、の方が大事であることの方が多いのではないでしょうか?

 個人名は例外にはなりますが、通称をつける場合は、通称をつけるだけの存在に今後なること、また現世でも同様の現象が起こりうるか、ということを考えなければなりません。


 例えば地震なんて起きないような世界を考えてみましょう。地面が動き、揺れるなんてありえない、なんていう世界です。

 主人公の旅の途中の平原にて、地震が起こったとしましょう。この先には村がある。おそらく家屋も倒壊して悲惨な状況を目の当たりにするでしょう。これを描くあなたは何によってこのような状態となったか、を「地震」以外のことで表現しますか? ということです。

 こういったイベントから、なぜ不動の地面が揺れたのか? ということの究明をするストーリーが始まるならば、「地震」という災害を「地震」以外で表現するべきではありません。わざわざ「アスクエ」なんていう造語を用意する道理はありません。もちろん、特定の事件を示すための通称をつけるのならば、話は別ですが。

 当然、通称が出るのならば、それがそれ以降の何かに関係しないと、ただ運悪く遭遇した、というだけに終わってしまいます。


 既にある現象に名前の上書きをするなんていうのは読者に無駄な知識を叩き込んでいるだけですし、わざわざフラグのように指し示された通称にまつわることをひっくり返されたいと望む読者を裏切ることにも繋がります。

 本当にこれに、名前をつける必要があるのか?

 現象やイベントの通称を考えているとき、一歩立ち止まるのはいかがでしょうか?

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