[日記]あの日の味覚

 暑さに倒れ、ただ漫然と過ごす。

 ミンミンとけたたましい外に、ウェルカムトゥアウトドアと言わんばかりの眩しさを垣間見て、ノーセンキューを叩きつけて、はやくも何度目か。

 滅多につけられないエアコンを、仰向けで眺めるも。そこにサイコキネシスなど出やしない。ただ、うんともすんとも言わず、リモコンからの許可を待っているだけである。

 そうめん、茹でるけど、いる?

 暑さに奪われた食欲をゆさぶるには、まずは涼しい部屋を用意するところから始めるべきだが、あいにくこの家には、エアコンを常時稼働させるという文化はない。

 それでも食わねばと理性が訴えるのだから、ついでに、とお願いする。

 最終的に出来上がったのは、ザルに盛られた白いゲレンデ。キレイにスキーの跡が残っていて、まぁなんとも涼しげだ。汗は止まらんが。

 そこに添えるのは、氷の浮かぶめんつゆに、刻みネギを浮かべて。そうめんがぬるくならないうちに、いざいただきます、と箸をつける。

 つるつるとすすれば、つゆの絡んだ冷たい麺が襲いかかってくる。さきほどまで、熱々と踊っていたというのに、流水、氷と冷やされては、たまったものではないのだろう。

 つるつる。つるりつるり。つるつるり。

 思ったよりも進んだ箸も、満腹をもって降伏する。

 いくらか冷えた体も、また次第に上がってくるが、眩しいくらいの空模様に、ため息をつく。


◆◆◆◆


 そうめん。もう何年食べてないのでしょう。

 食欲のない夏と言えばそうめんだと思うのですが、いかがでしょう。コンビニとかではカレーだカレーだと持ち上げていたりしますけれど。


 他にひやっこいものといえば冷奴くらいしかおもいつかないのですが、他に涼を求めて食べるようなものってありますかね。基本、麺類なような。

 冷やし中華、うどん、素麺に蕎麦。

 というかつゆに味がついてるわけですし、つゆがあれば満足できるのでしょうか……?

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