[創作論]航路明瞭、さて目的地は?

 およそのエピソードを考えるとき、変に複雑にしがちなのは世の常ですが、ではどうしたらその方針がシンプルなものに定まるのでしょうか?


 複雑になりがちな理由なんて、少し考えればわかることでしょう。

 全キャラの背景だとか、宿敵にも正義があるとか、設定を盛りに盛って、それら全てを成立させよう、と考えるからですね。

 もちろん、そういったものを描き切ることは、すごいことです。死んでしまう設定も少なからずあるにしても、大筋に問題がなければ十分なもの。どんなに秀逸な人でも、そこまでが限界です。(だって、てにをは一つで変化してしまう意味まで考慮して矛盾なく作るなんて、どうやったらできるんでしょうか)


 しかしまぁ、そこまでできるようになるには、繰り返しの推敲と客観的な読み返しが必要なもの。ならばいっそのこと、大筋に絡まない設定を全てないことにすればよいのではないでしょうか。

 簡単な話、役を与えるだけ与えて、それ以上の役割はないように仕組むわけです。極端に言えば、ラスボスは純粋悪、ですね。

 倫理的に許されないことをしている。それだけでいいわけです。

 その背景も語りたい。そう思うことは自然でしょう。しかし、それがあることで、身動きを取りづらくなってしまうことも多いです。例えば、優しかった人が許されない実験を行うようになったとすれば、そこには愛人とか家族とかが必要になります。でも、これをもし登場人物として出さないといけなくなってしまいます。幽霊だとか、知人として。

 すると主人公の道筋は、そこを通るルートに限定されます。いかに自然に描いたとしても、「そうしなければならなくなる」ことによって、エピソードは描きづらくなるんですね。

 プロット大事。作りこみ大事。

 簡単なことではありますが、難しいのは万年、誰でもそうなのでしょうねぇ。

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