[短編(市場)]夏いから
流されるまま。ただ漂流する。
打ち寄せる波を遠目に、規則的ながらも、わずかに違うリズムに乗って、ぷかぷかと浮かんでいるものがある。
それは翼を大きく広げた、山飛竜である。皮膜の下に空気をいれて、浮力を得ているそれは、ただ流されているばかりである。
夏の気候は、飛竜たちにとっては、動きやすい気温であることには違いない。だがそれにも限度があるようで、水浴びなんてものよりも、こうして浸かっている方が適切なのだろうと推測された。
ぷかぷかと。ゆらゆらと。
水面下では、なんだこれはと鱗まみれの脚に興味を示すものがいるが、いずれも食べられないことを学ぶと、すいすいとどこかへと行ってしまう。
じりじりと日差しが照りつける背中を、少し高い波が濡らした。
「シェーシャ!」
と、彼女のもとに泳いでくるのは、道連れの相手。
「……」
彼女は答えなかった。というのも、口を開けば塩っぽい水が入ってくるからだった。隙間のある口に舌を押し当てて侵入を防いで、鼻だけを海上に出しているのだから。
「おい、大丈夫か! おい!」
もちろん目も海上だ。とはいえ水面すれすれなので、目蓋はほぼ閉じている。
「今、助ける……!」
彼女は、いたって元気である。海上で眠ろうとしているわけでもないし、涼を楽しんでいるだけである。
そんな状態であることを、知るよしもない彼は翼の付け根あたりを抱き抱えるようにして、陸に向かって泳ぎ始める。
いかにも必死そうな彼の姿を横目に眺めながら、わずかに彼女は脚を動かして、それを手伝った。
◆◆◆◆
今年はプールとか、海とかに行く予定はありますか? 私はないです。というか最後に泳いだ記憶が10年とか前ですからね。ダメだこりゃ。
で、暑いから、冷たいと感じるよりも温かい程度ののプールでぷかぷかとするのって憧れませんか? 浮き輪とかあってもいいですけど。
日差しを浴びながら、ひんやりとした水も同時に感じられる……いいじゃないですか。日焼けしてしまうのは確かですけれども。
もちろん水上ボートでもいいですね。夏らしい。クルーズ船とかで移動もしてみたいですが、大体が外国にアクセスしたりするんですよねぇ、あれ。
さ、夏らしくなってきましたね。
学生の皆さんは、そろそろ夏休みですか。宿題はとっとと終わらせた方が、気楽でいいですよ?
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