[日記]そこに立つとは……
ふと物音が聞こえて、窓の外。
そこにはぴんと天に向けて伸びている白いものがあって、根本にはさらに白いものがある。
毛玉だ。
毛玉がいる。
ゆったりとした様子で、ガサガサと鳴る伸び放題の草の上で横になっている、らしい野良猫。どうやら寛いでいるようなので、そっと机にあったスマホに手を伸ばしてカメラを起動する。
このくらいの物音なら気にならないのか。そんな学びを得ながら、網戸越しに被写体をパシャリ。流石に驚いたのか、上半身を起こして、あるいはひねって、じっとこちらを見つめてくる、やはり野良猫。
ちょいちょいと感謝を示すために手を振っても、じとりとこちらを見つめるばかり。うん、野良猫だ。
なかなか陽が落ちなくなって、もうこんな時間じゃないかと外に出て、結局降らないじゃないかと唇を尖らせる。
さぁ行くか、と足を踏み出そうとしたとき、ふわりと現れたのは野良猫猫。びよんと物陰から飛び出したかと思えば、バランスのとりにくいだろう網の柵の上にひらりと飛び乗る。
よく雑貨屋で見る、目の荒い金網のてっぺんをくるりと曲げた柵に、器用に飛び乗った野良猫は、間もなくふわりと、飛び出してきた反対側へと着地して、テテテと走っていってしまう。
あんなところにバイクがある、と野良猫を目で追いながら、すごいなおまえさん、と感心のエールを送っておく。
多分、同じ子だ。いつしか、塀の上をてこてこと歩いていたから、挨拶したら驚いてたあの子。
またね、と用事をすませるために、足を進める。
◆◆◆◆
猫って器用ですよね。正確には、人間が巨体ゆえに不器用なのか。
ほんの一瞬でしたが、あんなところにとまれるのかと感心した瞬間でした。長時間は無理でしょうけれどね。
多分、飛び越えた先に私がいることを予想はしていなかったんだろうなぁ。一瞬だけこちらを見て逃げたので。
次はいつ遭遇するやら、楽しみですなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます