[短編(市場)]商売を考える
「もっと安くできないの?」
ギルにそう問いかけたお客さん。
「できない」
ギルは即答しながら睨み付けた。多分、まだ怒ってないと思うけど。
このお客さん、急にやってきて、予約とか予定とか無視して、明日には仕上げてほしいものがあるんだって。ショーケースの中を一回だけ眺めてから、これでいいから作ってちょうだい、と言い始めた。
でもギルに聞かないと分からなかったから、呼んであげると、ずっと、にらみ合い。
「お金は出しますわ。でも、この程度の宝石を、オーダーメイドありでこれは、ぼったくりではありませんの?」
おーだー……? なにそれ。
「こっちにも予定がある。石をはめる土台も作らないといけないのに、そんな短時間で用意できるか」
作ってるところは、正直見ていてもよく分からない。
「でも、量産品の在庫くらいは用意してますわよね? まさか、それも手作りなのですか?」
その通りだ、とギルの眼光が険しくなる。
「寂れた宝石店だからって、足元見るな。その金持って、そこらの店に行けば、貴様の眼鏡にかなうものくらい、いくらでもあるだろうが」
でもお客さんは一歩も引かない。
「ですから、このお金で安い宝石を買って、明日の夜のパーティに間に合わせたいの。富豪でも、節約はしないといけませんのよ?」
だから早く、と硬貨の山を差し出すお客さん。
「いいや、断る」
受けとることもしないギル。
「安上がりだからとうちを選んで、しかも納品を優先しろ、なんてほざくやつを相手にしてられるか。」
くわりと歯を見せつけると、やっとお客さんは文句を言いながらお金を持って出ていく。二度と来るもんですか、と豊かな身体を揺らして。
「……シェーシャ、大丈夫だったか?」
うん、どこも痛くないし。
「ならいい。俺は戻る」
彼は奥の工房に戻ってしまった。
なんかよく分かんないけど、複雑なんだなぁ。
◆◆◆◆
安く量産できて品質よくてめっちゃ売れてヒャッハー、というエピソード、ありますよね
しかしそんなことすれば他の世の中の商品が売れなくなってしまって経済に大打撃なわけですが、気になるのはお金がどこから出てくるか、ですよね。
現実には国が発行しているものですが、ファンタジーでは明記されたりはしませんね。なぜか魔物を倒したら手にはいるとかザラですし。
どーこで増えてるんですかねぇ。どこかで組織だって価値があるものとして崇拝しないとそうはならないはずなのですが。
そこらへんを掘り下げたようなものを書くのも面白いのかなぁ?
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