[ネタ]後天的な先天的
あなたは呪い持ちなの。
そう、再三言われ、私は、そういうものなんだ、ということを自覚する。
物心つけば、呪い持ち、というものが、一体どういうことなのか、気になるもので、いまだに、繰り返しそう教えてくる母に、尋ねる。
すると、眉間に皺を寄せた母は、昔話をしてくれる。
大昔、ずっと昔のこと、大きな国があって、魔法が盛んに研究されていた。今となっては、魔法を扱える人なんてそうそういないけれど……あるとき、魔法が手違いで、呪いになって、国中に降りかかったの。呪いにかかると、突然苦しくなったり、抑えが利かなくなったりしてしまうの。
その血筋に生まれた子は、その呪いを持って生まれてくることがあるの。それが、あなた。
ご本を読み聞かせるような言葉に、覚えはある、というのが素直な感想だった。転んだら悲しくなるし、ある朝起きたら、息ができないなんてしょっちゅうだ。
妙な納得を覚えて、お休み、と口づけを交わす。
そっか、呪い持ち。
どうして私がそうなんだろう? いくら考えても、昔の人が、呪いを作り出した、ということくらいしか分からなかった。
◆◆◆◆
呪いって便利な言葉ですよね。キャラにデバフを簡単に付与できますから。
しかし実際のところ、呪いって他者を蝕むようなものならば、なべて形を問わず、呪いなんですよね。害をなさないものを祝福といい、対義語として扱われますが、本質的には両方ともおなじなのだとか。
で、呪いってものは、現代的には儀式は要らないものなんですよね。単に、毎日毎日同じことを言うだけでも呪いになる、なんていうのはよくある話です。
それこそ、自分の子に罵詈雑言を告げ続けるとか、相手に繰り返し、それが真実であるように語りかけ信じ込ませるとか。
先述の内容では、さも呪われているように言われていますが、呪いの存在の有無は本当かどうかはさておき、その子は永遠に呪われているのである、という認識を刷り込まれてしまうことでしょう。
そうなると、どうなるのか? 想像には難くないでしょう。
生まれでたときからそうである、とひたすら呪われれば、たとえ呪いによる後天的なものであるにも関わらず、先天的なものだと信じ込むことになる。
さて、キャラクターたちが信じているコトの、事実はどちらなのでしょうか?
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