[短編(市場)]角なし竜は、とかく
で、思うわけだよ。
どうして僕には角がないのかって。
そもそもさ、おかしいわけだよ。なんで僕って母上似なんだって。いや、それどころか母上そっくりなんだって。親子は似るって言うけど、父上の要素どこ行ったんだよって。
え、もしかして僕って父上の子供じゃないのかな? それだったら今から本物をさがしに行こうって君を誘おうとでも思うわけだけど、事実として母上の群れのことなんてこれっぽっちも知らないわけだし、そんなことをしている暇があれば遺産の一つや二つを買いに行こうと思うんだよ。
いや、どうして角がないのかって話だって。
紅竜だろうが土竜だろうか、角ってあるわけじゃないか。立脚類だから邪魔だろうけど、実際あるわけじゃないか。男の青竜は皆持ってるんだよ? なんで僕だけないのさ。
ほら、ここ触ってみてよ。僕くらいの年なら子供がいてもおかしくないのにさ、コブさえできないわけだよ。そこが伸びて角になるはずなのに、そもそもできる気配もないのさ。
発育不良? 一言で済めばどんだけ楽だろう。ご飯もそう、他のやつと変わらないものを食べてたよ。
角があったどうするのかって? そりゃ、父上の群れのなかで役職を全うしてただろうな。どこかできっと、巡り合わせがあって、子供がいるんだろうなぁ、とか。
あ、この生活に不満がある訳じゃないよ。でも角、角があったら、父上もおかしくならずに済んだのかなぁ、って思うとさ、恨めしいんだよ。僕が男になれなかったのが悪かったんじゃないかって。
なんで角、ないんだろうなぁ。はぁ。父上の子供なら、堅くて立派なのができてたんだろうなぁ……。
◆◆◆◆
角って、現実的に考えると縄張り争いとかに使いますが、創作、もとい竜とかだとそういうのはないですよね。どちらかといえば装飾品。
実はといえばリエ君に角を描かなかったのって、帽子を被せたかったからなんですよね。親子のいざこざは後付けです。そも、二人の軽いデザインができたのが、もう十年近く前、市場を描き始めたのはもっと後で、衣装とかも大幅には変更していないんですよ。
初期設定では、ラクリさんは文系、リエ君は理系の知識を持って展開するつもりだったのですが、全知設定も話が広がらないので、魔法と遺産の探求者、という形に変更したんですよ。
なので世界樹の設定がなかった頃、ギルとシェーシャがいちゃいちゃしてるときに、リエ君が性的発言してた短編が残っていたりします。公開予定はないです。うん。
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