[短編(七日)]かつては元服、年にて12

 あでやかな装い。映える赤は祝いの印である反面、地味な没個性のモノクロは、かえって目立っている。

「成人式、ねぇ」

 てかてかと移り変わる画面に、毛布に潜り込む猛禽は呟いた。

「万芽って、色わかるの?」

 その目の前で祝日を楽しむ、遅い朝食を味わう少女に、それくらい分かるさと答えると、もぞもぞとする。

「ねぇ、日向。あんた、成人式に出るときは何を着たいんだい?」

 いきなり何、と睨みを利かせる少女だが、そんなものは齢千何百の神には通用しない。

「いいじゃないかー。聞かせとくれよぉ。もう18だろう? あとたったの二年じゃないか。準備くらいさせてくれたって、いいじゃないか」

 それはもう、楽しそうに言う万芽に、まだ二年もあるじゃん、と口を尖らせる。

「あっという間だよ、そんなの。あんたの母親が着てたやつが、実家にあったろうけど、まだ使えるかねぇ。今のうちに捨てないように言っておくべきかねぇ」

 一柱、妄想にふける。当人はまた始まったのだとため息をついて、空になった皿を流しに移して、洗い始める。

「母親がバカしたんだっけ? 酒に弱いことも分からず飲みすぎて病院送りだったっけ? いや、父親かぃ? どっちだっていいけどさぁ」

 絶対に可愛いよ、と締め括られた彼女の言葉は、人でいうならばにんまりとする顔が浮かぶものだ。無論、そんな力は猛禽の肉体にはないのだが。

「うるさいなぁ」

 ぽつりと少女が呟いても、神は無視した。


◆◆◆◆


 成人の日に師弟を別つ、を書くとは無神経な。こういうのを書くべきでしたでしょうか。


 成人って来年から、20から18に引き下げられるんですよね。で、気になったのですが、歴史と共に成人の定義って変わるんですよね。

 では20というのはどこから来たのでしょう? 少なくとも元服は12から16に行っていたとのことですから、第二次成長期のあたりですよね。これが終わっているのは20あたりですが、どうやって決めたんでしょう。


 もっとも、年を積めば精神もついていくのか、と言われれば否なんでしょう。大人らしい振る舞いをするように、なんて言われたりもしますが、それは昔からなんでしょうね。

 そもそも、連続時間の期間を、そういった定義で論争しようとするのもあほらしい、といえばそうなんですが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る