[短編(オリ)]ここから先は魔窟です2

 そうこうしているうちにメンバーとの自己紹介を終わらせて、契約に至った経緯を聞かされた。

 いわく、補助魔法で登録しているのが自分しかいなかったこと、その魔法がどんなものか個人的に気になったこと、決め手は仲介手数料が最安だったこと、だった。

 まぁ、理由なんてそんなものなんだろう。どのみち、やっと入れてもらえたパーティだ。全力を尽くす以外の選択肢はない。

 このパーティは現時点で、鉱床を発見できる程度まで進行できるということだった。少し資金に余裕ができたので、好奇心もあいまってつれてこられた、と。

 幸運だと思おう。うん。

「ええと、皆さんに注意していただきたいんですけれど、自分の魔法は、催眠を得意としています。なので、あなたたちに魔法をかけるときは少し時間がかかること、敵にかけるときは、引き付けないと効果がないので、あらかじめ作戦を立てるようにしていただきたいんですけれど」

 おう、と快諾してくれた契約主は、早速明日は出掛けるぞ、と待ち合わせ場所を指定してくれた。

 頑張ろう。初めてだから、は通用しない。


 翌日、鉱床を探すために危険な洞窟へと潜る。

 ここからが危険な場所だ、と教えてくれたため、自分は全員に、一対一になって暗示をかけた。結果として敵は全く現れなかったので、少し価値のある鉱石を取得して道を戻ろうとする。

 ところがどうだろう、帰りは敵で溢れ返っていた。

 身軽に敵を倒していく仲間に、魔法で何ができるでもないが、少なくとも自身を守るために立ち回る。そして気がつくと、敵は、おそらく群れのボスだけになった。

 好戦的な性格なのか、突然突進をしてくる。慌てて脇に避ける仲間だったが、自分は毅然と立ち向かった。いや、すくんで動けなかっただけだけど。

 自分の名前が呼ばれたが、そんなことは関係ない。相手の殺気に満ちた目を見つめて、見つめて、見つめて、ただ一方向に向いている力を発散させるように催眠をかける。

 するとどうだ。相手は突然、地面を蹴り損ねる。体勢を崩して、ズリズリと体側面を地面に触れさせ、滑っていく。

「今のうちにとどめを!」

 もしかすると、単にこけただけかもしれない。けど仲間たちは、すぐに立ち上がり混乱しているらしい群れのボスを討伐した。

 そして、自分は晴れて、初めての冒険から生還を果たしたのだった。


◆◆◆◆


 ちゃんとやれたじゃねぇか。


 かなりあっさりとしていますが、こういう導入であれこれと設定を追加できれば面白くなるかなぁ、と。不遇だとかどうとか嘆く前に結果を見せればいいんだよ、と。

 背景とかもしっかり書いて感情的矛盾がなければ面白くなるもんなんだよなぁ、とか根も葉もないことを思いつつ。

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