[創作論]顧みて執るものを選ぶ

 間もなく日付が変わるだろう。そう胸の内で口を尖らせ、指標となる数値を見る。昨日は開いていないため、一昨日の進捗と比較して、たったの百前後の増加だ。

 むぅ。だが今はエネルギー切れ。これ以上の思考は厳しいと脳が訴えてきているのもあって、ワークスペースを閉じて、寝床に横になる。

 今日はそんな疲れることしたっけ? いや、していない気がする。強いて言うなら、しばしば立ちっぱなしだったことくらいだろうか。

 こうして、ろくに進まなかったことを見るに、今日の選択を間違えたなぁ、とつくづく。


 こういった日は、どこかで必ず現れる。そんなときは別の作業をしてみる方が、かえって進捗がよくなるものなのだが、残念ながら始めたとき、筆が乗らないなぁ、と感じることは稀である。それこそエディタを開いて一時間もして、今日はダメだと気づくのだ。

 この一時間が非常にもったいなく感じないだろうか? 秒速何文字打てたら、などという指標を設けるつもりなどないが、少なくとも300とかそのあたりは進めたくなる。二時間もあるなら600。うまくいくときは一時間で1000はいくのだが。

 この状況を打破するためにはどうすればいいだろうか? 一つは常に進められる状態を整えておくことだろう。いつ始めても進められる、それはもうベストコンディションだ。毎日、次を書きたくて仕方ないとウズウズするくらいがいいことだろう。

 あるいは、別の作業をしてしまうのも、またしかりだろう。多くの趣味を持ち合わせているならば、別のものを手にとってしまえば、気分転換というよりは、悶々とする暇を塗りつぶしてくれるのだから、何もできなかったというネガティブを他のことができたというポジティブで上書きしてくれる。


 さて、ここで一つ問題がある。こういった進みが悪いとき、というのを素早く検知できればあとは行動に移すのみなのだが、生憎、やってみないことにはその日の進捗が悪くなるかは分からないのだ。

 その日、こっぴどく怒られたなどの分かりやすいイベントがあったならばすぐに認識できるだろうが、どうだろうか。私はそういったものがなかったにも関わらず、その日は書き進められない日だったのだ。

 単なる気分ではないことが一つの原因だろう。毎日毎日、体調は均一ではない。そうなれば、日々、進みのいい対象も変化する。

 どれを選べばいいのか? 分かる方法はどこかにないだろうか……悩むより作業ではあるが、さてこれはどこまで進められるのか。

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