[ネタ]増幅とは?
やったぞ、と両手を握りしめている者が感極まって涙を流している。
どうしたんだ、隣にいた青年が尋ねると、
「やっと支援魔法使えるんですよ!」
と目を輝かせる。
その効果を詳しく尋ねれば、武器の先鋭化ということができるらしい。ではかけてみてくれ、と青年はしまいそびれていた得物を差し出す。
もちろん。そう胸を張る少年はくるくると持っていた杖を回しながら、まだ濡れている顔のことなど気にせずに詠唱を始める。
はぁ、という力む音と共に杖が青年のもつ武器にコツンとぶつかる。
一見、変化がないように見えるが、ものは試しと脇に倒れている敵に向けて振り下ろす。先刻とそう違わぬ切れ味が骸を両断した。
何が変わったんだ、といぶかしむ青年に、よく見てくださいよ、と少年。
「血、全然ついてないでしょう?」
たしかに、そこには錆び付きの原因となるものが、武器の表面を滑るようにして滴り、べったりと付着することはなかった。
しかし、しょっぱいな、と苦笑いする青年に、これで役立たずとは言わせません、と少年は胸を張るのだった。
◆◆◆◆
よく魔法で援護をする、なんてありますが、ステータス増強系統って何をしてるんでしょうかね? 実は身体にドーピングの物質を注入してるとか? それはそれでやばそうですね。
まぁそれは各自の設定に任せるとして、実際のところ、こういった援護魔法って、実際にあるとしても敬遠されがちだと思うんですよね。
例えば初級火炎魔法で敵に火傷を負わせることができるとしましょう。これを増強しても火傷が少し大きくなるくらいなら、中級火炎魔法を取得して灰にした方が効率がいいでしょう? 上級を取得できる可能性もありますしね。そこで主人公が扱うバフのみ特別すごいもの、という設定があったとしても、それは援護をするものであることには変わりなくて、結果、二人で一人前よりも一人で一人前の方が扱いやすさも上がるし運用コストも低くなる。
つまり、社会的にも援護専門って扱いが低くなりがちなのでは……実際、業務のサポート専門の人がいなくなると、仕事が滞ったりするにも関わらず待遇がよくないなんて、よくある話ですし……。
役割なんてそんなものなんでしょうかねぇ。専門知識をいくら持ってたとしても樹海で独りサバイバルができる、というわけでもないですし、互いに価値を認め会わないと、あらゆることが破綻するんでしょうね。
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