[日記]ショートミール

 ある日立ち寄ったお店。

 薄く油のついた竹串に、衣のついたじゃがいもがくるくると巻き付いている。その名を、トルネードポテト。

 じゃがいも一個を使っているのだろうそれは、一本で税込、ワンコイン。じゃがいも一個で三十円程度、揚げる手間と巻き付ける手間を合わせて、果たして七十の価値はあるのかと、そんなことを考えつつも購入する。

 次に来るだろう客の邪魔にならぬよう歩き出しながら、まずは先端を一口。

 Oh, this is potato.

 いや、当然なのだが。なんならそこらのジャンクフードチェーンにもあるポテトもその類いだし、Lサイズで三百とられると考えるとリーズナブルだし、まるまる一本という満足感も得られる。


 しかし、こうした小食に対する値段について、ついつい考えてしまう。

 お祭りの屋台なんて最たる例だろう。唐揚げもたこ焼きも、ポテト、はしまき、焼きそば。原価厨ではないものの、ちょっと食べる、に対して値段がはね上がるのだ。

 もちろん、普段からそういったことをビジネスにしていない地元の人たちが、盛り上げるため、採算を賄うため、人が集まるからこそやっていることなわけだが、いかんせん、食べるという消費者当人が比較的大きな負債を負うことになるのだ。

 まぁ、そもそも、交流の場の借用費である、と考えれば安いものかもしれないが。

 逆に、いつも観光客で溢れる場所にあるショートミールは、屋台を出す契約をしているため、割合安く提供することができるのかもしれない。採算がとれているのかは知らないが。


 そんなことを考えていると、ほっくりとしたポテトが竹串から姿を消していた。口の中に残る塩気とほくほくとしたでんぷんを、もごもごと掃除しつつ、次の目的地へと歩き出す。

 唐揚げ、わたあめ、ゴボウスティック、キャンディに、半月形のポテト、ポテト、ポテト。

 これならいっそのこと、そこのコンビニか、レストランに入って頂いた方が財布には優しいかもしれない。先の竹串も捨てなければならないし、コンビニに向けて歩き出す。

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