[短編(オリ)]私の描く転生もの

 助けたい。

 そう思うことは罪なのだろうか。

 もしこれが罰だというならば、ぼくはどうしてここにいて、何かに襲われている人たちを救えるような場所にいるのだろうか。

 なにも覚えていない。腰が抜けてしまったままのこの人が見上げているのは助けに入った自分でも、刃のように鋭く輝く武器を振り下ろそうとしていた怪物でもなくて。

 他でもない自分の前腕。二の腕は、見慣れたものだったが、そこから先が、太く、黒く変色していて、伸びている。

 それは刃が食い込むことを許さず、かといって痛みがないわけではない。びりびりと伝わってくる熱は、どこか遠いが、実際に切れ込みを入れられていた。

 呆然とするしかない。なんでこんなものが生えてくるんだ。

 でも今は呆けている場合ではなかった。獲物に割って入ったこちらに気づいた、こいつを倒さないと。

 思い切り肥大化した腕を引く。すると油断していたのか、敵の刃は痛みと共に宙を舞い、遠くに落ちた。にやりと笑う、魚のような面構えは、自分を先に片付けるべきだと判断したらしい。ドシドシと歩いてくる。

 剣も弓も、杖も陣も、強いやつも仲間もいないこの状況。

「ふざけんな!」

 絶体絶命。それをひっくり返せるのは、自分だけ。

 両腕を肥大化させて、殴りにかかる。だがケンカなんてしたことがないから、漫画のような見よう見まねで。

 動きが鈍い。だから手数で攻める。振り上げて、落とす。骨のなさそうなところに、思い切り拳をぶつける。

 だが限界なんてものは、自分の思っているものよりも、はるかに低いところでやってくるものだ。数回の攻撃で、肩が悲鳴を上げ始めて。

 どうする。どうしたら自分達は助かる。

 それだけを必死に、迫る魔物の目の前で考えていた。


◆◆◆◆


 異形化ヒーロー! もっといい感じに悩んでください!


 ということで、転生ものって、記憶などの情報をそのままに、肉体情報が変化しますよね。人間から人間なんてよくありますが、別種族になることもまま。でも自ら異形となるような種族というかそんなもんがいてもいいんじゃないかな!?

 変身能力? 知らんな。もっと怪物になって出直してこい。

 ひとまず助けられたから例を言うものの、人間ではない何かであるという忌避の視線を向けられ、それでも魔物を片付けるという仕事を負う。もしかしたら魔物の仲間じゃないかとあらぬ噂をたてられて、魔物側に勧誘されたりとか、堪らんな……葛藤しろー。


 そういえば以前、一年前ですかね。魔力を引き継いだ転生者がそれに合う体に、異形になってしまうお話。

 このネタも使ってみたい欲が出てきています。タイトルにするなら「賢者の転生者と無力の魔物」。で、表紙は異形と少年or少女とセットで! もちろん、異形が賢者で、少年少女は魔物! うん、おいしい!

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