[日記]第600話 定期的な訪問者のお話
さあ、寝よう。明日に備えて、明後日に備えて。
用を足して、寝床へ向かおうと立ち上がり、扉を開こうとしたそのとき、ふと足が止まる。
妙に気になって明かりをつけてみれば、そこにはまごうことなき隣人がたたずんでいた。彼、もしくは彼女ははっとしたのか、六本の足を互い違いに動かし、いそいそと隙間へと逃げてしまった。
けっこう大きな蜘蛛である。ざっと親指よりひとまわりふたまわりは大きかったろうか。それでもって、全身が暗い茶、剛毛で覆われているようにも見えたが……。
この時分、羽虫の姿は見かけないが、まぁ好きにさせておこう。
さ、今日も身体を動かして作業に移ろう。仕事でなまった身体を動かそうとしたとき、ふと近くの壁に目がいく。
白い壁をほい、ほいと降りている彼、もしくは彼女の姿があった。足場を探る様子もなく、ただ淡々と蛇行しながら降りている。
口もとの器官でかいなこやつ。そんなことを考えながらストレッチを再開する。
あっという間に床に到着した蜘蛛はとってとってとまだ歩く。軽く走る動作をして床が揺れようがなんのその。歩く、歩く。時折、迷いがあるのか、視線を左右に振る。
そんな足元の隣人を踏み潰してしまわぬよう、通行を見守っていると、また立ちふさがるのは、壁。次はどこへ行くのだろう、変なとこにいられてもなぁ、との思いからじっと見守っていたが、また壁を登ることを選んだらしい。つまづくことのない器用なクライミング。
一通りのストレッチを終えてみれば、すでに天井高くに蜘蛛はいた。白い壁に黒いその姿はよく目立つ。さて、次はどうするのか。
シャワーを浴びて戻ってこれば、もうその姿はなかった。どこに隠れたのだろうと首をかしげるが、隅っこ族であるならば、私は構いはしない。
さて、今日は魔王討伐。やっていこう。
◆◆◆◆
久しぶりに、我が家に蜘蛛がやってきました。しかしその種類を調べようとすると難しいうえに、正気値を削られますね。「蜘蛛 一覧」で調べてはダメですよ? 画像検索だとアシダカグモばかりが出てきます。
ということで、600話目です。今回は定期的に出てくる蜘蛛の話でした。かわいいとかの感情はないんですよ? でもアシダカグモと同棲してたから目視耐性がありますってだけで、触ったりはできないです。虫も触れないです。
でも羽虫を片付けてくれる益虫(虫ではないけど)ですからねぇ。あ、自転車からは降りて? 降りてくださいお願いします。糸を張らないでくださいお客様、困りますお客様ぁ。
と、そんな部屋の隅っこで様子を伺ってる彼らを眺めるのも、存外楽しいもんです。時間がつぶれるなぁ。
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