[創作論]無知たる強者
無知たる強者。このワードを出したのは先日のお話です。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889374154/episodes/1177354055443230420
こういったキャラって書きやすいんだなー、と考えたわけですが、ではなぜそう考えたのかを書いていきましょう。
まず、簡単な話、強者には何らかの実力が伴うんですよね。権力しかり、武力しかり。ファンタジーでは必ずといっていいほど、ある程度の心得を習得した人が主人公に据えられます。その力で現れる敵を倒したり、利害の一致のすり合わせ、交渉をすることができます。
そうですよね。なんも手札もメリットもないのに交渉には応じてくれませんし、あったとしても強奪されると分かっていれば交渉なんてできない。なんらかの力関係がないとテーブルにはつけないんです。
次に無知について。あるイベントの裏に不穏な影があったとして、それの存在について知らない主人公が、ふとした事件をきっかけに踏み込んでいく。よくあるストーリーではありませんか?
その中で主人公に明かされていく情報は、同時に読者への情報提供ともなる。そしてこの情報をもとに考えを変えるのか、それとも巨悪に立ち向かっていくのか。感情を揺さぶれば、もとからある力で立ち上がる。
どうでしょう、もう物語のあらましが作れませんか?
剣の道を極めた主人公が立ち寄った村。ちょうどよく盗賊が略奪をしているところで、これに立ち向かう。難なく追い返し、頭首を討ってくれと頼まれて、いざゆかん。しかし、実は盗賊たちはそれに扮した公的な集団で……。
結局のところ、事件は違えどテンプレです。
強力な能力を授かって転生した者も、流れていた腕利きの傭兵が事件に巻き込まれるのも、間違えて土地神様を討伐してしまったりするのも、いずれも無知なる強者が存在するからこそ成立するものです。
彼らが何も知らないから、読者も知らない。なら情報を同時に与えてしまえば、読者は頷くし、物語は進むし、主人公の次の目的も作れる。巡りめぐって10万文字や区切りにたどりついて、めでたしめでたし。
もし一定の強者である主人公の行動力に疑問が残るとき、提供されている情報について今一度見直してみるといいかもしれませんね。あとはどうやって勝つのか、腕の見せ所です。
それで魔王討伐では強者ばかりの各キャラが持つ情報にかなり差があり、無知である存在がいないんですよね。だから書くのに苦労しています。今さら無知ポジション作るのもあれだしなぁ……。
市場で言うなら、このポジションはラクリさんとテレア、ギルの三人ですかね。ある程度の実力はあって、あれやこれやとイベントをこなしていく感じ。
妖魔だと……妖怪たちか? ちょっと分類が難しいですが、間違いなく強者ですね。
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