[日記]死人に口なし、未亡人に……

※暴力表現あり


 静かだった。

 一定間隔で鳴り続ける音。これから旅立つ者に送る、ここにいてはいけないと背中を押す輪唱。

 淡々と執り行われる儀式に、すすり泣き。暗い彩りに統一された人々。涙を浮かべながら背中をさする者から、さすられながらうつむくばかりの者まで。しばらくするとぎゅっと目を閉じながら空を見上げる人も出てくる。

 だからといって、それが帰ることはない。

 たとえこの群衆が何百倍となろうと、事実に変化は訪れない。

 運悪く、はたまた寿命を迎えた者。目を開き、言葉を繰り、笑いうこともないそれを、ただ横たわる事実として受け入れるしかない。

 ふと、遠くに見える人影に気がつく。途中からの参加者であろうか。黒一色に身を包み、歩いてくる者がいる。

 ざわりと、ない体が何かを認知する。

 そいつは妻に、子供に挨拶し、一礼。もちろん、それが誰なのか知らない彼女たちは、ご丁寧に、と謝辞を述べる。

 前に出たかと思えば、そいつは口にする。ふざけるなと、そっと逆鱗に触れたやつは、そうそうに立ち去った。

「呪い殺すか? あいつを」

 隣で共に眺めていた霊の言葉に答える前に、すでにやつの足取りを追い始めていた。それでこそ人間だ、と笑うそいつも、追いかけてくる。


◆◆◆◆


 この話において、「取り残された人」を未亡人と呼んでいます。語呂のいいワードがありませんでしたので。


 さて、今回は死後の自分について。

 正直、まだまだ死ぬ予定はありませんが、一つの仮定のお話です。

 自分があのとき自殺でもなんでもしていたらどうなっていたのだろう? と考えることはありませんか?

 死んでどうなるか、なんてそうなってみないと分かりませんが、自殺含め、それを一つの解放として望むことは多少なりとあることと思います。


 で、思うのですが、仮に自分が死んだとして、やつらはそれをどう思うのでしょうか。

 いじめとかやってるやつらが友達面して遊んでるつもりだったとか言ってるの、腹立ちませんか? 過労自殺したとして、金と制度是正すればハイ解決なんてされてどう思いますか?

 命に代わるものなんてないのに、それをそんなものごとで一蹴されるんですよ? 無言の訴えを起こすために全てをなげうつくらいなら、殴れ、と私は言いたいですね。

 イノチハダイジダヨォと言うのは結構ですが、命なんてものにダイジなんていう価値をつけないでほしいですね。繰り返すほどに言葉の価値っていうのは軽くなってしまうものですからね。


 さて、なんだか思うところがあってこんなことを言いましたが、冷えてきましたね。体にはお気をつけを。

 

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