[創作論]定義する。そこから始まる。
こういうふうにしたら面白いのではないか? 創作者たるもの、そう思い浮かべるのは一度や二度ではないはず。
たとえば住居といえば黄金でできていたり、空浮かぶ雲は神様の乗り物で、下界を観察するためにあるのだとか、晴天だと神が見守る必要のないほど良い日になるとされている、とか。
こうして見てみると、創作というのは定義から始まるのではないのだろうか?
まずは主人公とヒロインがいると定義する。すると二人がいるという前提のもと、会話なりのコミュニケーションが始まるのだ。
神は全知全能であると定義する。だがそれをよく思わなかった人間の一人が反逆し、神の全能を否定する。
魔法があると定義する。この魔法は生命を削るものだとする。そこから命を賭けた物語が始まる。
そう考えると、ゲーム、漫画にしろ小説にしろ、それらは全て定義によって成り立っていると考えられないだろうか?
こんな例を考えてみよう。
この世界では死ぬと、木となってしまう。核の影響で荒廃している大地がある。だから囚人をこの地に放ち、緑化を進めるために餓死させる。
木となる、荒廃の大地、囚人という存在の定義があって、この地に放ち緑化を進める、という言葉が初めて映えるのである。
もっと平たく言えば、始め二つの設定がなければ、「荒廃している大地に囚人を放つ」という言葉に何の味もないのだ。
もちろん、設定(定義)によって全ての物語が成立するなら、創作に苦労はない。どの設定を隠し、どれを嘘とするのか。綿密に組めば、精巧に操つり魅せればいいのか。これが巨大な壁となる。
それでも、この壁を登るには、定義から入ってみるしかない。彼がいて、彼女がいて、ライバルが敵がいて、彼らにはこんな定義があって。
だからまずは、始めよう。
この定義された世界に生きる、ということを。
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