[日記]災害

 大掃除しよう。

 唐突に現れた、憎きあやつが住み着いているのかどうか調べよう。

 家具を移動させて、掃除機で一掃してから注意深く拭き掃除。ここも、あそこも、目につく隙間は全て、できるだけきれいにする。

 結果、住み着いているような痕跡はなかった。しょうじき、貴奴らはどこにでも潜むから、人間の私の目を掻い潜っているには違いないが、一安心、と思うしかない。

 その中で、ビニール袋を見つけた。中にはいくつかの未開封の袋。


 そういえぱもう一年か。超大型のスローペース台風が関東に上陸したのは。


 今年もまた台風の時期になっている。

 今日から明日にかけ、九州に10号がやってきている。被害の予想など、振り替えってみなければ分からないものだが、どうなることだろうか。

 そう、一年。袋から備品の一つを拾い上げ、消費期限を眺めてみても、まだ大丈夫なようだ。次も、その次のも……おっと、これは短いのか。どこかのタイミングでいただこう。

 保存食。あと、お茶とスポーツドリンクを用意していたが、先日の暑さで飲み干した。また買っておかないといけないな。

 一年前のあの日、週末のこと。上陸する前日、避難グッズをどうにか確保した翌日。

 さめざめと雨が降り、ビュウビュウと風が吹き荒れる。いつ水がせり上がり、床の上に到達するのか。止まぬ水の襲来に、窓の外を何度ものぞく。

 遠くに満ちた水。波紋を繰り返し刻んでは、刻まれる。たった一滴が天より襲来し、数多の弾丸となり地上をうがつ。

 底知れぬ不安を感じながら、貴重品を上階に避難させて、一晩を過ごした。窓を閉めて、じっと待つしかない。

 結果、ここでは何も起こらなかった。

 出番のない食料たちも、胸を撫で下ろしていることだろう。

 今年もまた、くるかもしれないのだろうか?

 なるようにしかならないが、グッズがなくなる前に調達しておこう。

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