[短編(ネタ)]治癒力999
※暴力表現あり
なぜ、平然と立っている……たしかに、喉笛を突き、胸を刺し、腕さえも切断した。
だがそこには傷口など一つもなかった。夢か幻か。いや、脂にべたつく得物がうつつであることを物語っている。
そうか、比喩でもなんでもなく、これが不死の将。
どれほど致命傷を与えようとも、平然とする兵。
緩慢な動作で切り離された腕を拾い上げ、くっつけた。間もなく、グーパーと指を動かし始めた。
こいつぁ、勝てない。
一つの戦場で、一人だけが立っていた。
簡素な隙間だらけの鎧を身につけて、じっと最後の敵を見下ろしていた。
死ねないな、とそれは呟き、踵を返す。かと思えば、後方にいたのだろう兵士がこの場になだれ込み、死者や櫓だったものを運び始めた。
戦場唯一の生き残りは歩き続けると、天幕が一帯に張られている。一番大きいものの内側に入ると、それの脇腹に鋭い衝撃が走る。
興味なさそうに視線をやれば、矢が深々と刺さっている。射線の先には、面を被った兵士の一人が弓を引いていた。
「ぬしの身体は、まことに不可思議だ」
天幕の中央に座す、立派な鎧を身につけた男。
兵士は矢をおもむろに掴み、引き抜く。痛みなど感じていないように、彼を望む。
「いい加減にしろ。協力してやってるのに、毎回致命傷を負わされるなら鞍替えするぞ」
ばかにするように大口を開けて笑う男。そんなことお前がするわけない、と続けた。
「兵士として戦場に出たがるお前の望みを叶えてくれるのは我ら以外、おらんだろうよ。お前を欲しがるのは医者連中ばかりだからな!」
静かに睨み付ける兵士には、傷痕一つもない。
「……口内炎ができないことくらいしか、いいことないからな……」
兵士の唇が湿り気を帯びた。
◆◆◆◆
口内炎の治りが遅いです!
ということで「治癒力」がカンストしている無双マンがメリットを語ってくれました。前線で無双することを誇ることよりも、傷の治療途中である口内炎ができないことの方が彼はありがたいそうです。
ねぇ……大きい口内炎はじくじくと痛むし、寝付きが悪くなるし、ご飯は食べづらくなる。はぁ。
ちなみに自然発生ではなく、ガリッといってしまったものです。ここ数年、口内炎の治りは早かったし、できにくかったし、ここまでは久しぶりだなぁ。
ということで、致命傷が治るだけが治癒力ではないんですよね。切断部位をひっつけるのもそれですし、髪の毛や爪が生えてくるのも。
下手をすれば皮膚の代謝がすごかったりすることでしょうね。それはそれで面白そう。
そういったネタを練り上げれば、また別の話を組み立てれそうですねぇ。
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