[短編(市場)・創作論]移ろはざるもの

 じりじりと照りつける太陽光をそのまま返す砂の灼熱地獄。そこを歩く者たちがいる。立脚、四脚類まぜこぜの者たちは目元以外を同じような衣装でほぼ隠し、時折吹きすさぶ風が視界を妨げようとも、休むことなく歩き続ける。

 やがて陽は沈み、ぐんと気温が下がり始めた。それを期にキャンプを張った彼らは、各々の時間を過ごし始める。

 簡素な食事を終えて、休息に努めるためだ。

 そんな中、ガンダー、と横になっている立脚類の獣に声をかけた者がいた。寝息こそ立てていないものの、たくましい身体を覆う黒と黄との模様の毛皮、短い鼻先と真ん丸な目。虎と呼ばれている彼に、問いかけが続く。

「おまえって、ドラゴンの国出身なのか?」

 ヒュウという音に継ぎ、バチバチと幕が鳴った。

「そうやけど、やからどうしたん」

 起き上がることもせずに聞き返すガンダーに、どうして騎士になったんだ、と。

「……なんかあかんことでもあるんか?」

 明らかな不愉快を滲ませるが、じっと動かない。

「いや、ドラゴンの国といえば、だいぶ前に戦争があったろ? どうしておまえがそこで復興のために残らなかったのかって」

 狭いテントの一角、中央のランプの明かりも届かない。

「やったら、まず俺が、どっち側やったと思う? しかけた側なんか、守る側なんか」

 守る側か、と即答すると、正解や、と。

「正しくは、守る側の家系やった、やな。まだ俺は子供で、親も、その親も騎士やっとった」

 一呼吸。

「やから、殺された。しかけたやつに、ドラゴンの国の英雄たちの軍勢にな」

 なるほど。

「……かあさんも、とうさんも、投降したらしいんやけどな。でも、殺された。こんなことあってええんかいな」

 沈黙。

「もうええか? そいつ殺すために、世界樹狙ってる砂漠に来たんや。じゃりじゃりして嫌やけど、それ以外はええとこやな、砂漠の国は」

 ごろりと仰向けになり、微笑む獣に、そうだろう、と深い笑みが返される。

 ちょうどそのとき、消すぞー、という合図と共に灯りが消え、夜が始まった。


◆◆◆◆


 某ゲームのプレイ動画を鑑賞していたんですが、復讐かぁ、と。


 市場における復讐者といえば、最後にギルと対峙したガンダー、この人だけです。作中では外見の描写はありませんが、イメージは虎です。

 とはいえ、デイル戦に入る少し前に、本当の最終決戦相手として据えたために設定がすかすかなわけですが、ゲームを作るとなるとガンダーの関係者用意しないとなぁ、となっています。


 それはさておき、鑑賞していたゲームの映像技術といい、モーションといい、台詞の言い回しといい、映画を観ているかのようでしたね。

 その中で、心情の変化や憎悪の表し方もすごいなー、と。もっとガンダーの存在ちらつかせるべきだったかなぁ、とかとか。まぁ、ギルは主人公sの中でも顔が広い方だし、ガンダーの存在は宣戦布告の話のときに決めたし、仕方ないかぁ。

 これだからプロットは用意しとけって、ね。

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