[創作論]外敵生成論

 魔物。人類を支配しようと作り出された魔王による兵士。そのくせ人類に形を似せたり、化けたりすることで内部分裂を狙うのが鉄板の手口だ。

 しかし、それを見破るための方法も確立されつつある。

 例えば、魔物は一人の司令塔となる者に対し、数人の活動者で構成されるグループで動く傾向があることが確認されている。必ずといっていいほどリーダー一人に五人前後の工作員。十人も二十人も集まって行動することはない。

 なぜ数で押してこないのかは謎だが、代わりに一人一人が人類とは比ではない戦力を持つことも多い。だからこそ、我らはそれ以上の数を形成しておくことになっている。

 まぁ、人間のクセに気の合う少人数で固まりたがる者たちがいるのも事実で、そいつらがまた、この簡単な話を難しくいているのだが……人間だから仕方ない。

 人類の平和のために、今日も魔物、魔王との戦いは続く。


◆◆◆◆


 共通の敵や脅威を想定して、それに立ち向かうことで団結したり、休戦を図る手法、よくあることかと思います。

 王道では魔王やら覇王やら、非道なリーダーだとかを敵に据えることでしょう。


 ここに組み込むエピソードにはどんなものがあるでしょうか。

 敵を倒すための作戦会議、敵組織との直接対決、内部分裂、敵とのやり取り、目標達成後の道について、目標を持ったきっかけ、と様々なものを想定することができるでしょう。


 で、次回作の「魔王討伐」の構成を考えていたのですが、「人類全て、味方である」という価値観を持った者たちが「生活を奪おうとする賊」と対面したらどうなるのだろう、と思ったんですよね。もちろん、両者ともに一定の戦闘能力を持っています。

 そもそも、相手が略奪対象である、とか討伐対象である、という前提で舞台が整えられているはずなのに、なんでそんな能天気なやつがいるのか、と考えることでしょう。しかし「味方である」と思っている者たちは賊ではない「人類共通の敵が存在する」を想定していたとしたらどうでしょうか。

 要は、登場するのは「略奪目的で現れた賊」と「敵は魔物だけである、と思っている者」です。後者は敵として振る舞う相手を、「味方であるはずの人間」と見ているのです。

 裏切り、人を斬る覚悟が足りないとか、そういうことではなく、敵はこちらを敵として見ているが、こちらは敵を敵として認識できていないと。

 そういうシチュエーションが起こったとき、彼らにどんな行動をさせようか。首を捻っているところです。

 こういうのはシンプルにした方がいいんですけれどね。どうしてもひねってしまうのは作る者のクセというものです。

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