[短編(オリ)]私の描く無双もの2
瘴気の平原。その名のとおり、毒素の強いガスが地下のどこからか沸きだしている危険な場所だ。
その危険な場所ゆえか、毒に耐性を持つどころか、さらに強い毒を持つ生物も歩き回っているとなると、かなりやばい。独自の生態系が築かれていると言えば聞こえはいいが、この平原を寝床とし、平原の外に食料を求める生物ばかり。彼らのせいで瘴気が外に持ち出されるために、定期的に駆逐しないといけない。
で、これから私はそこに単身踏み込むわけだが……今日はどうしたことか、よりにもよって貴族の物見遊山に出くわしてしまった。
比較的安全な私の背後、風上から望遠鏡で平原で眠っているけだものを、ほっほーと言いながら眺めている。
おまえらの安全を用意してやってるのは私なのに。公共事業ギルドなんて無駄だとばかり発言しているだけのくせに。
瘴気・毒に対する完全耐性の加護を持っているとはいえ、相手はけだもの。命のやりとりをすることには変わりない。魔物、なんてふうに呼ばれていたりするが、正直、どっちでもいい。
倒すための相手であることは変わらないのだ。
あぁ、いいことを思い付いた。
ここは、許可なく立ち入るな、近づくな、とギルドが冒険者に支給する地図に書き込まれているのだ。それに、一般人の常識でもある。
そして、私はギルドからの仕事でここに来た。この貴族からは一切の金をもらっていない。つまり、事故を装えばいい。責められようが、護衛含めてここで片付けてしまえば……。
いつもの私なら平原に踏み込んで注意を引くが、今日は石を拾い上げて、見世物にされているけだものの方向に投げた。もちろん、それはこちらに気づいた。
のそりと起き上がったそれは、やってきた。安全な場所なんて、どこにもない。
◆◆◆◆
主人公たちを見下すような相手を、手のひらで転がし片付ける。よくあるパターンですね。
邪魔をするから片付ける。そこに理由はない。けれど理由があれば目的や思想もあって自己投影もしやすくなる。
それを考えると、人間の本性って暴力、なんですかねぇ。殴ってスカッとするよりも罪悪感の方が私は勝るかなぁ……。
また、今回は「毒、食らわば」の設定も使いました。毒という肉体に対する概念に耐性を与えてしまえば、わりと利に叶っているのかなぁ、と。
にしても、毒って、瘴気って便利ですよね。超人、特別設定が簡単に作れるんですからね。
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