[短編(オリ)]私の描くスキル式異世界物語

 間違いなく、詰んでいる。

 目の前には剣も魔法も通じなさそうな皮膚を持つモンスター。背後には頼りない仲間が二人(オレが強いという意味でも、二人が足手まといという意味でもない)、そして、その向こうにも同じモンスター。

 ここは草原の真ん中。どうにかパーティーを結成したオレたちはギルドからの初めてのクエストを受注して、はや一日。

 ……使えるスキルがない。

 この世界にやって来てはや数ヶ月。つまり、スキルポイント人生が始まった。今は貯めに貯めて50ポイント。そして、目的のスキルを会得するには、あと10ポイント。

 しかも、ポイントがあったとして、こんな場所では処理ができない。専用の施設にいく必要がある。

 そもそも、どう見ても勝てなさそうなモンスターに囲まれているこの状況、どうしてこうなった?

 ここらにはレベルが低くとも苦戦しないモンスターばかりがいると聞いていたのに、だから三人で強いスキルを先に覚えて楽をしようと笑いあっていたのに。

 残り10ポイント。その数字が恨めしい。

 とりあえず、どうにかして逃げるしかない。仲間と背中を合わせ、相談する。

「どうやったら、イッテラ村まで逃げ切れると思う?」

 魔法使い見習いの彼女は、こちらの様子をうかがうモンスターを見つめながら、ローブの裾を結び始めていた。

「走るしかないと思います! あのレベルのモンスターには、スキルがないと勝ち目はないです!」

 違いない。もう1人の仲間である重騎士見習いも頷く。固まって逃げるべきだと提案すれば、あっちがいいだろうと顎で示された方角を見る。

 おそらくこのモンスターはあまり早くない。二足歩行が基本なうえに、それに前傾姿勢。人間と同じ骨格でも背中から腰にかけて負荷がかかりやすいだろう。

「よし、行くぞ!」

 合図もロクに決めず、逃走を図る。逃げる獲物を追いかけようとしたモンスターたちだったが、幸い予想は当たっていた。イッテラ村に到着する頃にはモンスターは見る影もない。

 あぁ、帰ったらスキルとっとこう。節約するとか、強い冒険者に護衛してもらうとか、帰りの手段を考えないと。


◆◆◆◆


 ポイントでスキルを取得する場合、「強いものほどポイントコストが多い」のは当然ですが、「いずれ使わなくなるスキルなんて無視して強いスキルとろうぜ」という者も出てくるのではないでしょうか?

 結果、序盤で強敵が登場して逃亡しか選べなくなる展開とか、考えられそうですね。


 その場合、必要なものを取得するため、よそ様のパーティーに入れてもらって稼ぐなんて方法も考えられますが、どう調理するかは作者次第ですね。

 ゲームシステム面では、こういったことを行わせないためにMPをもうけたり、スキルツリーで順番に取得しないといけない、なんてことも考えられます。これを物語に関わらせるにはどうしたものですかね。

 そういえば、非ゲームである異世界にスキルという概念はあれど、スキルツリーというものがある場合を見たことがありませんね。違うエッセンスとして採用できるかも?

 まぁ、スキルの概念のあるお話は書こうとは思っていないので、ネタとして上げるしかできないですが。

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