[短編(市場)]Present For You epsode1

 どうしたらいいと思う、と胡座をかくギルが真剣な眼差しで切り出した。

 いつにも増して狭くなった樹海の小屋の中、ラクリ、リエードの二人が彼を出迎えていた。

「どうしたらって…私たちに言われてもねぇ」

 彼らの視線の先には、ここの住人の食卓ともなるテーブルがあり、普段ではありえないものが乗っていた。

 小物の大きさはある宝石である。

 装飾もなにも施されていない、球のようにも見えるそれは、よくよく見れば規則正しい面を持って球を成していることが分かる。

「シェーシャって、こういうのより食べる方が好きでしょ。無理して渡さなくていいんじゃないかな」

 リエードは寝床に半身を乗せながら、テーブルに顎を乗せながら現実的な意見を述べる。

「俺の最高傑作だぞ。あいつに身につけて欲しいと思って、何が悪いんだっ」

 ギルが自身の角を掴むようにして俯く。悶々としているようだ。

「いや、贈り物を選ぶのも渡すのもあんたの自由だと思うけど、受け取るかどうかは、また別の話でしょ」

 もっともな回答にうなるギル。二人は視線見合わせ、小さく頷く。

「でも、シェーシャのことだし、ギルの贈り物ならなんでも喜ぶんじゃないかな? あの子は何かくれたことはあるの?」

 ある、と答えるギルは俯いたままだ。

「それをもらったとき、あんたは嬉しかったんじゃないの? シェーシャだって、あんたが喜ぶと思ってそれを渡したんじゃない?」

 わずかな沈黙。

「俺が大怪我したとき、あいつの分の飯をくれた。早く元気になってって言ってくれて…」

 再び、赤と青は視線を会わせるのだった。


◆◆◆◆


 結局、樹海の二人からは答えを得られなかったそうな。


 恋人同士の贈り物。絵になりますね。日常の流れている背景に二人の笑顔が見れるだけでも、それは一種の記念日となるように。

 さて、贈り物という文化は人間に限ったものではないんてすよね。有名どころ(?)だと夫婦の狼とか、カマキリだとかが行うようです。

 そこに真心があるのか、とかいう話は置いておいて、どうして心穏やかになるんでしょうね。

 単に、金銭のやり取りなく、物が一方的に行われるだけなのに、不思議ですよね。あるいは、昔から「贈られること」に感情を揺さぶられる生活を送っていた、ということなんでしょうか?

 物によって満たされない場合ももちろんありますが、受け取り、お礼を言う。それだけの行為には変わりないのに。


 うーむ、謎ですねぇ。思えば近頃、贈り物なんてしてもいないし、されてもいないから、という考え方もできますね。

 それを物語に求める…あり得ない話ではなさそうですが、真相は各々が中にしかないので、考えるしかなさそうですね。

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