[日記]鳥の行水

真夏のある日、帰路について、最寄りの駅へと向かうためにバスに乗っていた。幸い、昼も早めの時間だったため混雑することもなく、ゆるやかな数十分の旅となる。

駅のロータリーに進入したバス。降りなければと運賃を取り出す最中、ふとロータリーの真ん中に設置されている、噴水だったのだろう浅い池が目についた。

なんでもない、いつもの光景のはずだが、今日は来客がいた。灼熱の光線を白く反射する黒き者。一人のカラスだ。

彼か彼女かは分からないが、彼は近くに人がいないことをいいことに、水面をじっと見つめ、飛び込んだ。

足は水底につくらしく、ぷかぷかとしている様子はない。体を震わせ、ぶわと羽毛を逆立てて、頭を水をつっこんで、何度もありもしない輪くぐりを繰り返す。

ザパザパ。パシャパシャ。

やがて満足したのか、よっこいしょと陸に上がり、水を跳ね飛ばす。翼を広げたかと思えば、飛び立つ。

「間もなく発車しまぁす」

はっとして、私は降車口へ駆け込んだ。


◆◆◆◆


外に出ると、彼らには必ずといっていいほど遭遇します。木の上、芝生、鳴き声、飛翔、追いかけっこ。どこにでもいるのでしょうか。

ある日見かけた子を描いてみましたが、水浴びを見たのはそれきりですね。彼らにとっては広い浴槽なんでしょう。


ちょっとした彼らの仕草を観察するのも、面白いです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る