[短編(オリ)・雑記]GW四日目-背後霊-

今、あなたの後ろにいるの。

それだけ言い残してぷつりと電話は切られた。ただのいたずらだろう。電源を切って携帯電話を元あった場所に戻す。

だが一応、後ろを振り返ってみる。案の定そこには誰もいないのだ。正面に向き直ったとして、視線を感じたとしても誰もいない。

当たり前だ。ここには私しかいないのだから。

もうじき日付の変わる時間だ。明日は休みだが、もう寝ておこうか。

作業台にものを全て置いて、両手を組んで伸びをする。関節が伸びる音が耳に届く。

就寝準備に入ろう。あとは歯磨きの後、用を足して水を飲んで布団に入る。たった、それだけのことのはずだった。

いつもの洗面台の鏡。疲労の見えるなんでもない、いつもの顔。だが今日は何かが違う。右肩の後ろのあたりに、何かが見えた気がした。靄のような…だがそれを何かと認識する前に消え失せる。

気のせいだろう。そう思うのも当然だ。

準備を終えて布団に入る。足をつっこんでから後ろに倒れる。すると敷布団の感触が体を包み込まない。

腹筋をするような姿勢のまま、数秒の間を置く。背中には硬いような柔らかいような感触。

状況を整理しようとしたが、それよりも早くあの声が聞こえた。

「あの、重いので、やめていただけませんか…?その、背もたれになれっていうなら、構いませんけれど…」

電話越しに聞こえた声が、ぷるぷると震えるなにかから聞こえてきた。

「私、あなたに触れていたいんです…」

いや、待ってくれ、君は、一体誰なんだ。


テーマ「背後霊は背もたれになれる」

◆◆◆◆


背後霊って背後にいるから背後霊なわけですね。じゃあ何ができるのかといったら?

その答えは背もたれになるということ。意味がわかりませんね。

視点主は背後霊の存在なんて信じたことがないし、背後霊はきっと彼のことを知っているようですが、急ごしらえのお話です。オチもありません。

実家に帰省するとバカな話をするわけですが、その中に、背後霊は何ができるのか、という問に対して、背もたれになれる、という回答が得られました。

背もたれになる背後霊!カウンター席でもベンチでも!どこでも背後霊背もたれ!持ち歩く必要も、お金もかからない!!なんと今回は特別価格!○円でのご提供ですっ!


うーん、使えなさそうだな。喋ったりするから邪魔で仕方ありませんね…

バカな話は帰省のたびにしているわけですが、やっぱ楽しいもんです。

黒猫がよく鳴いていますが、霊でも見つけたのでしょうか。白猫はずっと寝ていますが、暇なのでしょうか。


今日もつれづれ日和です。

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