第21話 ハルトへの監視

 ミネルバは、グリフとハルトの仲を、未だに疑っている。

 実際にその様なことが無いということはミネルバ自身も理解しているのだが、ハルトが現れたことによってグリフの行動が変わったことは紛れもない事実だ。

 ミネルバは、先ずグリフに会いに行き、グリフからしっかりとした説明を受けた。

 グリフは、ミネルバへの説明の最後に、とても面白そうに告げた。


「キミにそんな一面があったとは知らなかったよ。

 新たなキミを知ることが出来たことは、僕にとっては嬉しい事実だね。

 これは、益々ハルトに感謝しなくてはならないね。」


 といった対応をされた為、ミネルバにとっては嬉しくもあり、悔しくもあった。

 グリフが以前から、ドームの外に調査をしに行きたいと口にしていたのを知っており、それはミネルバ自身の為でもあるため一応の納得はしたが、恋人であるミネルバのことよりもハルトに興味が向いていることがミネルバにとって面白くない。

 その上、妹同様のシオンまでハルトに取られてしまう様な気がした為、ミネルバはシオンとは違う意味で、ハルトの監視をすることにした。


 何かにつけてグリフの質問ばかりしてくるシオンと、どうしてもトゲトゲしい態度をとってしまうミネルバ。

 ことの初まりはどうであれ、長い時間を共にしていれば、自然と仲良くなっていく。

 ハルトにとって、グリフの次に話しやすくなったのは、シオンとミネルバとなった。

 グリフとミネルバが恋人同士ということなども聞き、色々な話しをする様になった。


「…ということデス。」

「とても丁寧な言葉なのに、そこはかとない悪意と言うか、害意を感じるのですが、何故なのでしょうか?」

「その様なことは、全く無いデス。

 ハルトさんの勘違いデス。」

「ミネルバが、こんなにも感情を表に出すのは珍しいです。

 ハルトさんは不思議な方ですね。」

「いやいや。

 俺は不思議じゃ無いよね?」


 シオンやミネルバは、訓練や組み手の相手も務めてくれて、合間には必ず話しをする。

 監視が名目だったとしても、ハルトにとっては良い気分転換となっていた。

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