第8話 異なる星からこんにちは
「えっ?
異なる場所?…って、どういうこと?」
「ハルト。
君の身体や思想などは僕たちに近い。
近いけれど、肌の色や体内の細菌叢には違いがある。
それは、異なる環境で育ったからだね。
僕たちとは異なる環境で、この惑星とも異なる。」
「この惑星とも?
グリフ。何を言っているんだ。」
「ハルト。
先ずこれを見て欲しい。」
そう言うとグリフは、小さな端末を操作すると空中に画像が現れた。ホログラフの様だが、随分とはっきりしている。
ハルトが見た映像は、獣の毛皮らしきものを着込んだ髭面の人達だった。肌の色はグリフ達と比べると、日焼けしている所為なのか茶色い。髪や体毛は赤茶色で、髪質についても、かなりごわごわしている様に見える。
「この映像は何だい?」
「それは、この惑星の住人さ。
原住民と言っても良いかな。
僕たちに最も近いのは、この種族だね。
尤も、この記録から随分時間が経っているらしいから、少し変わっているとは思うけどね。」
グリフの解説を聞いたハルトは、グリフに当然とも言える質問を投げかけた。
「えっ。
じゃあ、俺はどこから来たんだ?」
「少なくとも、僕たちの惑星とも違うね。」
「えっ?
グリフ達とも違う惑星なのか?」
「僕たちの先祖は、ここガダに数世代前、余所の惑星から移住して来たのさ。
有り難いことに、ここの環境は安定しているよ。
その代わりに、刺激というか危機感が無いから、この頃は人口が増えて無いんだけどね。」
「そうか。
ここは、地球ともグリフ達の星とも違うのか…。」
ハルトは、異なる惑星と聞いてショックを受けた。
更にショックだったのは、グリフ達も、また別の惑星から移住して来たということだった。
この星に住まう者にとって、ハルト一人だけが異質な存在である。
考え込んでしまったハルトをそっとしておくべく、グリフは声を掛けなかった。
しばらくして、どこかからの連絡を受けたグリフは、手を耳に当てて話しをしていた。
通信機に相当する様な物は、全く見受けられない。
やがて会話を終えたグリフは、ハルトに声を掛けた。
「ハルト。
君に使って貰う部屋の用意が出来た様だから、そこに移動して話をしよう。」
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