第356話 浄化の勇者様御一行バカンス篇③ 浄化の勇者様御一行in上野公園〜鋼鉄の天魔で空中散歩を

 * * *



「ふいー、ただいまー」


「今戻ったぞ」


『タケル様、戻りました!』


 小一時間ほど、僕らが喫茶店ルノアールでくつろいでいると、イリーナとエアリス、そして真希奈が戻ってきた。


 イリーナはエアリスに付き添われてとあるモノを買いに、真希奈は僕らが服を買っている間に、プルートーの鎧を隠しに行ってくれていたのだ。


 流石にあんなに目立つものを引き連れて歩くわけにも行かず、僕は全員に魔族種語、獣人種語、さらにヒト種族語でおおっぴらに打ち合わせをしたあと、みんなが鎧を取り囲むように移動を開始し、周囲の視線が切れたのを確認してから透明化。さらに真希奈も透明化して鎧に帯同。誰の目にも留まらない、高層ビルの屋上に隠してきてもらったのである。


 ちょうどイリーナたちが戻ってくるタイミングで真希奈も合流し、品のいいドールを抱くロシア少女という、絵になりそうな風体で喫茶店やってきたようだった。


「みんな美味しそうなの飲んでるわね。私はどれにしようかな?」


 店員さんが急遽テーブルを繋げて作ってくれた11人用の席はかなり大きくて、一区画を僕らは専有してしまっていた。もちろん、待っている間に思い思いの注文をしている。


 セーレスはクリームソーダ。

 魔法世界マクマティカではありえないメロンソーダの色と炭酸に目を白黒させつつ、てっぺんに乗っかったバニラアイスを丁寧に丁寧に食べている。


 セレスティアとアウラはパフェ。

 セレスティアの前にはいちごといちごシャーベットが乗っかったパフェが、アウラはメロンとヨーグルトシャーベットが乗ったパフェが運ばれてくると、見慣れた僕でさえ目を奪われるような笑顔を浮かべ、拍手喝采を送った。持ってきてくれた店員さんも終始ニコニコしていた。


 アイティアはオレンジジュース。

「これなら味が想像できます。果実水ですよね……多分」などと言っていたが、一口飲んだ瞬間、せていた。どうやらあまりの酸味と甘味にビックリしたらしい。こんな鮮烈な味の果実水は飲んだことがないという。ごめん、それ人工甘味料と香料なんだよね。多分アイティアが慣れ親しんだ果実水って100%果汁を絞っただけのものだろうし。


 ソーラスはアイスストレートティー。

 だがこれは彼女の口には合わなかったようだ。というのも、本場のメイドさんで、お茶を入れるのが日常茶飯事である彼女からすれば、香りも少なく、味もいまいちとのこと。「できれば厨房に文句を言いに行きたいです!」と言っていたので全力で我慢してもらう。


 パルメニさんはアイスコーヒー。

 口にした途端に「毒ッ!?」と身構えていたが、いやいや、それはそういう苦味を楽しむものなんですよ、と言うと、恐る恐る挑戦していた。でも「ごめんなさい、別に渋みは嫌いじゃないの。でもオルソン茶とは全然違くて……」とギブアップ宣言。ちなみにオルソン茶は日本茶みたいなハーブ茶だ。なので僕は砂糖とミルクを入れてあげて再チャレンジしてもらった。「あら、これなら飲めるわ」とのことなのでよかったよかった。


 オクタヴィアはレモンスカッシュ。

 スカッと爽やか。甘酸っぱい青春やら初恋を連想させる……かもしれない炭酸飲料である。だがお子様にはその酸っぱさと炭酸も苦手なようで、途中でアイティアのオレンジジュースと交換していた。ちなみにアイティアはシュワシュワする甘酸っぱい飲み物が気に入ったらしく、透明なグラスに立つ気泡を指で突いて遊んでいたりした。


 前オクタヴィは……もうお分かりですよね、コーラです。

 もはや語るまでもない禁断の味。僕に罪があるとすれば、あのフードコートでうっかり前オクタヴィアにコーラの特大サイズを買い与えてしまったことだろう。以来彼女はお腹がいっぱいになるまで胃袋をコーラで満たすという快感に目覚めてしまったのだから。


「はああッ、至福、です……! あううッ!」


「変な声をだすな!」


 念願のコーラを飲んだ前オクタヴィアが悶え始めたのは参った。ひとりだけジャージ姿だが、その容姿はダウナー系の極上美女である前オクタヴィア。喘ぎ声ひとつで店内の視線を独り占めしたのは言うまでもない。


 とりあえず後ほどまた飲ませるのを約束して、この場では一杯のみで我慢してもらっている。なにせそろそろ晩飯の時間だしね。


「それにしてもすごく綺麗で上品な内装。店員の対応も丁寧だし。もしかして王侯貴族御用達のお店なのかしら?」


 パルメニさんもそんなことを言って、最初は緊張した様子だったが、ここはあくまで市民の憩いの場所ですよ、と言うとかなり驚いていた。


「はい、とりあえずこれね」


 注文を終えたイリーナが立派な紙袋から取り出したのはプリペイドスマホだった。

 僕の軍資金が早々に尽きてしまったのに呆れたイリーナは「本当にしょうがないわねー」と言いながら、自分の口座からお金を下ろしにいってくれていたのだ。そのついでに頼んでいたものを買ってきてくれた。


「何から何までスマン」


「まあ、こういうのも楽しいから別にいいけどね」


 口ではなんだかんだと文句を言いつつもイリーナはかなり機嫌がいいようだった。他のメンツも最初こそ戸惑ったようだが、王都を凌駕する東京の街並みを見て、服を買ったりしているうちに、すっかり観光気分になっているようだ。


(半ば無理やり連れてくることになってしまったが、結果的にはよかったのかもしれないな……)


 なにせ聖都の浄化が終われば、今度は補償問題などの交渉が具体化する。被害者はヒト種族を代表したハーン国王側であり、請求元はアダム・スミスである。それがどのような形で行われるのかはわからないが、僕も併せて今後更に、地球との行き来は頻繁になるだろう。


 などと考えながら僕は、記憶していた電話番号にコールする。

 ふと顔をあげると、他のみんなが全員僕に注目していた。


 そうか。突然イリーナから四角くて真っ黒い謎の物体を受け取った僕が、それを耳元に押し当てているのだ。何事かと思うだろうな。


「あー、これは遠くの相手と話ができる魔法道具で――」


 言いかけた瞬間、スピーカーの向こうから『はい、もしもし』と涼やかな声がした。咄嗟に僕は応えていた。


「あ、僕僕。僕だよ」


『…………』


 通話越しもわかる。

 ものすごく警戒されている。

 振り込め詐欺の第一声みたいになっちゃたよ。


「あっと、ごめん、そうじゃなくて……!」


『この番号を知っている者は限られているのですが……一体どのようにしてこの番号を入手したのでしょう。情報を売った側と買った側、双方を社会的に抹殺いたします……!』


「嘘っ、いやいや、ちょっと待って!?」


 日本を代表する大財閥の御堂さんにそんなことを言われたら本当に俺終わっちゃうよ!


『――ふ、冗談です。お久しぶりですね、タケル様』


 絶対零度を纏っていた硬い声が和らぐ。

 いつもの落ち着いた上品な声音に、僕はホッと胸を撫で下ろした。

 と、みんなの方を見てみると、イリーナが口バクで「かっこわるーい」などと言っていた。うるさいよ。


「いやホント、直接会ったのは上野のとき以来だよな。花火のときは紹介だけだったし。あれからずいぶん時間が経っちゃって悪いな」


『……そうですね。まったくもってそのとおりです。宝石の件では私はあまりあなた様のお役に立つことができませんでした。むしろカーミラの人脈を頼って、見事事業を成功させたようでよかったではないですか。さらに花火工場も紹介だけさせられてあとは梨の礫。まあ花火の社長があなた様を大層な働き者と評していましたので私の面目も保たれたのは幸いですが。それで、今度はどちらを紹介すればよろしいでしょう。和菓子職人ですか? 風鈴職人ですか? それとも植木職人? あなた様のお役に立てるならいくらでも人脈を駆使しますともええ……!』


 いかん。アフターケアを怠った結果、溜まりに溜まったものが噴出しまくっている! これでは本題を切り出すどころではない。どうにかこの状況を覆す一言を繰り出さねば。


 尚も噴出する百理の不平不満――主にもっと連絡を密にしろ、カーミラに一度連絡をしたら同じく自分にも連絡を入れろ。あと地球に来たら何をおいてもまず自分に一報して着信履歴を残せというものだった。アウラとセレスティアのためにコンビニにアイスを買いに来ただけの時は流石に勘弁してほしいぞそれ。


 このままでは埒が明かないと思った僕は、軽く息を吸い、覚悟を決めてその言葉を口にした。


「――今日は百理に会いに来たんだ」


『…………』


 おや、反応が……?

 マシンガントークはピタリと止んだがリアクションがないぞ。


『…………ッ、な、なにを、今更……!』


 声が上ずっている。どうやら狼狽えていただけのようだった。

 ここで手を休めるな。一気に畳み掛ける。


「僕もさ、もともと柄じゃないけど王様なんてやることになって、少しだけ百理が背負ってるモノの大きさもわかるようになってきたんだ。それで、連絡できなかった間にも色々なことがあったから、その報告ってわけじゃないけど、会って話せないかと思ってさ……」


 魔法世界マクマティカでは王様な僕だが、地球ではとっくに死んだことになっている。


 そんな僕が頼れる者はカーミラか百里しかいないのは当然の話だ。身分証もない、しかも未成年な僕がこんな大人数をどこかに泊まらせることなど不可能である。まあ最悪の場合はマキ博士の人研に行こうかと考えているけど……。


『わ、わかりました。ちょうど私も保養地にいますので、今から迎えをやります』


 おお、あっという間に話が決まった。

 しかも保養地? 御堂財閥が所有する福利厚生施設とかかな。


 バブル崩壊以前にはどこの会社も持っていたというが、御堂財閥ならどんだけすごいのを持っているのだろう……などと想像していると、さらに百理は『タ、タケル様!』と続けた。


『こ、ここ、今夜はその……ね――寝かせません。覚悟をしておいてください!』


 ん? はて?


「え、今夜? ……ああ、まあ大人数だから一晩中騒ぐことになるかな。宴会みたいに」


『は? 宴会? 大人数、ですか?』


「うん」


 ……………………。


『もしや、エアリスさんやセーレスさんもご一緒ですか?』


「あ、そっか。人数を伝えてなかったな。今イリーナも一緒で、えっと11人+一体+アルファって感じなんだけど」


 僕がそう言うと、スマホの向こうから『は、はは、ははは……はああ』と乾いた笑いとため息が聞こえてきた。


『後生です……先程のセリフは忘れてくださいまし……』


 消え入りそうな声でそういうと、『また連絡します。しばし待機していてください』と言い残し通話は終了した。


「忘れろって、何のことだろう?」


 とりあえず連絡待ちになったので、それを伝えるべく顔をあげる。

 すると――


『じー』


 呪いの面相の真希奈と、


「やれやれ、我が主ながら……。百理殿が不憫だ」


「タケル、そんなにそのびゃくりって女の子に会いたかったの?」


 どうやら僕の会話はエアリスの風の魔法で各々の耳にまで筒抜けだったようだ。幸いなのが日本語が理解できていたのはエアリスとセーレス、そして真希奈だけだったようで、それ以外のメンツは未だ疑問符を浮かべている。ちなみにアウラとセレスティアは未だパフェに夢中だった。


「あんたいつか絶対刺されるわよ」


 イリーナはコーヒーフロートを啜りながらジト目でそう言った。

 不死身だから平気だもん――というのはきっと負け惜しみだと思ったので僕は沈黙を貫いた。



 *



 そうして小一時間後。

 僕らは上野公園のど真ん中にいた。


 東京都美術館や動物園、西洋美術館はとっくに閉館していている時間だ。

 指定されたポイントはそれらの施設のちょうど中間の、広々とした広場のような場所だった。


 喫茶店からここまでの道中、セーレスやアイティアたちは、きらびやかなネオンに彩られた東京の街を物珍しそうに眺めながら歩いてきた。


 道中、酔っぱらいがセーレスやアイティアに声をかけてきたが、エアリスの眼光とアズズの面を被ったパルメニさんの殺気、ソーラスの肉食獣の笑みに退散していった。頼もしすぎるよね。


 そんなこんなで上野公園に到着すると、当然人気はないものと思っていたのだが、そうでもなかったようだった。


 園内はお祭りの真っ最中のようで、動物園前にある桜並木には提灯が吊るされていて、たくさんの屋台が並んでいた。人通りもかなりあって、中には浴衣を来た家族連れやカップルなどで賑わっている。


「お父様、あれってなに!?」


「なに……?」


 原色も鮮やかな屋台の暖簾やのぼりに惹かれたのはやはりセレスティアとアウラだった。


「あれは夜店だな。いろんな食べ物を売ってたり、金魚すくいとかができるんだ」


「きんぎょ……?」


「なに、それ?」


 説明してもいいけど、そうしたら絶対やりたいって言うよなあ。

 どうしよう、祭り見物できる時間ってあるのかな?

 多分もうすぐ百理が用意した迎えの車が来ると思うんだけど。


 そう思っていると、公園入口の方から、一台のハイヤーがやってきた。

 ヘッドライトをビカビカさせながら、進路を拓き、僕たちの目の前に停車する。

 ドアが開くとそこからは――


「やめなさい! 娘に手を出したらただじゃおかないわよ!」


「お父さん、私は大丈夫だからッ!」


 タンクトップを着たやたら筋骨隆々なオカマとセーラー服にトートバッグ持った少女が吐き出された。


「なに、ここどこなのよ!? っていうかなんで目隠しなんかするのよ! もう取っていいの!? ねえ、もう取るからね!」


 恐らくハイヤーの中にいた黒服スーツの男に言っているのだろう、アイマスクを取り払ったオカマと、僕はバッチリ目が合ってしまった。


「イスカンダルさん?」


「タ、タケルちゃんじゃないのよさ!」


 ムキムキのオカマ――名前をイスカンダル冴子さんといい、御徒町で孤高のジュエリーデザイナーをしている職人さんだ。


 黄龍石に魔法を封じ込めた特別な宝石――ドルゴリオタイトの加工とデザインをお願いした僕の仕事相手であり恩人でもある。


 その隣で未だにアイマスクのまま不安そうに震えているのは、恐らく娘の佐智さんだろう。


「え――あ、タケルさんだ!」


 イスカンダルさんによってアイマスクを取られた彼女は、父親とお互いの無事を確認し合うと、途端僕を見つけて大声を上げた。


「ちょっとこれはどういうことなのかしら? いくらタケルちゃんでも悪趣味すぎるんじゃないの?」


「いや、誤解です! 僕らもこの場所に来るように指示されただけで」


「指示? ってここどこなのよ?」


「上野公園ですけど」


「超近所じゃない!」


「私、バイト帰りにアキバで拉致されたからすごく怖かった……」


 未だに心臓がバクバクなのだろう、佐智さんは胸を抑えて涙目になっていた。


「ちくしょう。娘さんは預かったなんて言われちゃ手も足もでないわよ」


 イスカンダルさんは額に青筋を浮かべ、地団駄を踏んで悔しがる。元自衛官で傭兵経験もある軍人である。だが娘を人質にとられては抵抗のしようもなかったのだろう。


「というかタケルちゃんがここにいるってことは、なんだか黒幕がわかりそうなものなんだけど……」


「奇遇ですね。僕もですよ」


 僕と彼の共有の知り合いと言えば、ヒトをおちょくることに生きがいを感じる、あの吸血鬼女しかいないような気がする。と、その時――


「あああああッ!!」


 佐智さんのあられもない悲鳴が響き渡った。

 ビックリして彼女を見やると、放心したように固まっている。

 イスカンダルさんも娘の視線の先を追っていき――ビシっと石化した。


「えっと、タケル、このヒトたちって誰?」


「ヒトか? 獣人種か? 何者だ、タケルよ」


 僕らの会話に取り残されていた異世界メンバー。セーレスとエアリスが代表して紹介を求めてくる。あー、彼ら親子はだね――


「初めまして、セーレスちゃんにエアリスちゃんね! 一発でわかったわ!」


「ふわあ、本物のエルフ……、褐色に銀髪なんてカッコ良すぎ……!」


 イスカンダルさんはその巨大な手でセーレスに握手を求め、佐智さんはエアリスを至近からマジマジと見つめていた。


「俺たちためにドルゴリオタイトの宝飾品を作ってくれた職人さんとその娘さんだよ」


「イスカンダル冴子よ! 写真でみるより遥かに綺麗だわあなた! やだ、また創作意欲が湧いてきちゃう!」


「おふたりともすんごい美人さん……! うわ、まるで妖精みたいに可愛い子供まで! 天国? リアル二次元? 拉致られてよかった……!」


 暴走しまくるイスカンダル親子と、大所帯な上に見目が麗しすぎるセーレスたち。さらに黒塗りのハイヤーが横付けされたままの僕らは相当目立った。


 いつの間にか祭りの見物人が集まり、僕らを遠巻きに眺めている。

 一体どうすればいいのか――途方に暮れた途端、強烈なサーチライトが頭上から降り注いだ。


「あれは――」


 サーチライトに続いて、喧しいローター音が降下してくる。

 集まった人々も夜空を見上げ、その威容に驚愕している。

 免疫のない異世界メンバーなら言わずもがな、全員言葉を失っていた。


『あー、緊急、緊急、至急ライトの範囲より退避されたし! 繰り返す、緊急着陸につき、即刻退避されたし――!』


 わっ、と人々は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。

 僕らも慌てて場所を開けると、問答無用で大型ヘリが着陸する。


「り、陸自のCH−47じゃないのよ!」


 さすが元自衛官。災害派遣とか、人員輸送に使われる大型ヘリである。

 その迫力たるや、まさに鋼鉄の天魔と呼ぶにふさわしい姿だった。


「待たせたなタケル!」


 後部の輸送ハッチが開き、中から出てきたのは、予想通りというかベゴニアだった。


 カーミラの眷属であり、執事兼秘書という立場にある男装の麗人。

 今は隻眼隻腕ではあるが、その立ち姿や眼光は些かも衰えたところがない生粋の武人である。


「私のセンパフローレンス様!」


「権田原金之助殿もご無沙汰している」


 ニカっと太い笑みを向けられ、イスカンダルさんは乙女のように真っ赤になった。ちなみに権田原金之助は彼の本名である。カーミラにそう呼ばれた時はつばを飛ばして否定していたのに今はウットリとしている。これが愛の力なのか。


「この度は我が主に代わり皆を迎えに来た。僅かな時間ではあるが空の旅を楽しんで欲しい……!」


 こうして僕ら異世界組はイスカンダル親子を交えてヘリへと乗り込むこととなった。


 こんな軍用機を使って、一体どこへ行こうというのか。若干の不安を感じつつも文句の言える立場じゃないので従うしかないのが悲しいところだった。


 続く。

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