第332話 北の災禍と黒炎の精霊篇2⑫ 超法規的・二カ国協議開始〜うちには精霊沢山います

 * * *



 さて、苦手な空気である。

 例えて言うなら、社長の前でプレゼンをする新人社員ってこんな気持なのかなと思ってしまう。


 エミールも巻き込んでレイリィ王女とふざけあっていたらパパご登場で、なんだかずっと僕を睨んでいるのである。


「話を聞かせてもらおうか」


 たった一言、その呟きは、水精の壁で部屋の半分を防音にしていても、正確に伝わった。


「わかりました」


 すぐさま透明な水の壁を取り払ってそう言うと、やってきたハーン国王は席についた。


 傍らに控えるポコス翁は王からは見えないよう、僕に向かって自分の耳を触っていた。さすが宮廷魔法師。不可視のはずの水の結界がバレてるや。


「おまえらも座れ」


 自分の両脇に控えるポコスとデカイおっさんに向かってハーン国王は言った。

「それでは」と言って右隣の椅子に腰掛けるポコス爺さんとは違って、デカイおっさんは王の隣に腰掛けることを躊躇しているようだった。


「さっさと座れ。どうせ長丁場の話になる。それともその間ずっと立ってるのか?」


「はっ、私はそれでも一向に――」


「空気を読もうなあパンディオン将軍。国王はそのデカイ図体で後ろに立っていられると鬱陶しいとおっしゃられているのじゃ」


「こ、これは、失礼をいたしました!」


 バタン、ガタガタとすぐさま左隣の椅子に座るおっさん。それでもハーン国王に比べてかなりデカイ。


 そうして三人が並んで座ると、かなりの迫力だった。

 特にハーン国王の眼力が半端ではない。

 まるで睨みつけるような視線を僕に送っている。


「あー、仲良きことは素晴らしいとは思うんじゃがなあ、国王の前では少々控えてくれんかのうタケル・エンペドクレス王よ」


「はい?」


 ポコス爺さんに言われてから気づく。

 そう言えば、肩が触れ合うくらい僕とレイリィ王女との距離は近かった。

 一緒に写メ撮って遊んでいたのだから当然と言えば当然だ。

 なるほど、だからハーン国王は……っていうかホントに睨まれてたのか僕。


「それもそうですね、失礼しました」


 僕はすぐさま立ち上がり、隣の椅子へと移ろうとする。

 ぐいっと、思いっきり袖を掴まれた。

 レイリィ王女だ。


「あの、王女?」


「席を移ることはなりません」


 ニッコリとレイリィ王女が笑みを向ける。

 あ、これは笑っているのではない、怒ってるのだ、と僕は悟った。


 何故ならセーレスやエアリスもたまにする笑顔だったからだ。

 ちなみにエミールは従者らしく、国王が入室してきたときより王女の背後でカカシになっている。この場で圧倒的に発言権がないのだろう。


「了解です……申し訳ありませんが、僕は王女に大恩がありますので、レイリィ様の言葉を優先させてもらいます」


「――――ちッ」


 驚いて顔をあげる。

 もしかして今の国王?


「行儀が悪いですぞ」とポコスの爺さんが窘めてるから間違いないだろう。

 パパってば娘に懐かれてる僕が本気で気に入らないのね。


「あー、話を始めるにさしあたって、まずは自己紹介をさせてもらおうかのう」


 そう言って口火を切ったのは最年長のポコス爺さんだった。


「私の名前はアストロディア・ポコス。一応、王国全ての魔法師を統括する立場にある」


 宮廷魔法師の頂点に立つ実力者は、そんな感じで少し自分を控えめに紹介した。


「あちらのやたらとデカイのはパンディオン・ダルダオス将軍。王都の最高軍事顧問にして対外戦争の最高司令官でもある」


 紹介されるデカイおっさん、パンディオン・ダルダオス将軍は、キリリとやたらいい表情で僕を見てから目礼した。うん、見た目に違わず毒がなくまっすぐな瞳だ。


「そして、こちらが我が君、レイリィ王女のお父上にして、第14代目のハーン。オットー・ハーン・エウドクソス陛下になりまする」


 真っ赤なローブを纏った国王は無精髭が生えた顎を反らせて僕を下に見ていた。その髪はレイリィ王女の白縹の髪をうんと濃くした群青色をしていた。


 紹介を受けたらこちらも名乗らなければならないだろう。

 僕はその場で立ち上がり、スッと頭を下げた。


「ご丁寧な紹介痛み入ります。僕はナスカ・タケル。普段はタケル・エンペドクレスと名乗っています。魔族種根源貴族の一角、龍神族の王をしています」


 僅か数ヶ月前に王位に就いたばかりの僕に比べ、ハーン国王は長い歴史を持つ巨大国家だ。種族のことは置いておいて、僕がへりくだるのが筋だろう。


 僕が礼を尽くして顔をあげると、ポコスの爺さんは少し安心した様子でこちらを見ていた。ハーン国王も相変わらず面白くなさそうな顔をしているが、特に文句はなさそうだった。


「一国を預かる方から丁寧なご挨拶を感謝しますぞい。改めてタケル・エンペドクレス王を国賓として迎え入れられたことを嬉しく思いまする。不幸な行き違いにより無礼を働いてしまったこと、謹んで謝罪を申し上げます」


 ポコス爺さんがそう言って頭を下げた。

 僕としても引きずるつもりはないので「謝罪を受け入れます。遺恨はありません」と宣言しておく。


「さて、次にそちらの御仁は我が国が誇る英雄……なのですが、エンペドクレス王とは旧知の間柄のようですな?」


 エミール同様、今までずっと影になっていた男が立ち上がる。


「我が名はフリッツ・シュトラスマン。王都に仇なす怨敵を誅した武功を取り立てられ、名誉男爵位を賜った者――」


「うん、それ全部誤解だから」


 ドヤ顔で自己紹介していた、かつて神に選ばれたこともある男は、顎が外れるほど愕然とした。


「ど、どどど、どういうことだそれは貴様ァ――!」


 テーブルから身を乗り出して叫ぶフリッツ道化野郎。今にも抜剣しそうな勢いを窘めたのはポコス爺さんだった。


「フリッツ・シュトラスマン名誉男爵。エンペドクレス王は我が国の大切な客人。それに対して『貴様』とは、いささか口が過ぎませんかの?」


「あ、いや、それは――」


「というか誰だこいつをここに呼んだのは?」


 今まで腕を組んで黙していた国王がそう言った。

 存在理由さえ失って、道化野郎は消沈した。

 まあまあ、と僕がとりなしてやる。


「先程ポコス様がおっしゃられた不幸な行き違いの、そもそもの始まりが彼なのです。ならばこの話し合いで、その誤解も解消されれば、フリッツ名誉男爵殿が同席する意味もあると思います」


 そのときには名誉男爵位も失うかもだが、知ったことじゃない。


「ふむ、なるほど。私どもは謁見の間において、エンペドクレス王に無礼を働いた。今更フリッツ・シュトラスマン名誉男爵だけ責めるのは違うと、そうおっしゃられているのですな?」


「まあ、そういうことですね」


 道化野郎は真顔で僕を見ていた。やがてうつむきながら「失礼した」と言って席に座った。立ちっぱなしだった僕も席に座る。座った途端、そっとレイリィ王女が再び僕の裾を掴んできたけど放っておく。テーブルの下でのことだし、これぐらいはまあ許容範囲だ。


「さて、色々と聞きたいことがたくさんあるんじゃが、どこから聞いたものかのう」


 ポコス爺さんは自分の真っ白な髭を撫でながら天井あたりに視線そ彷徨わせた。

 確かに話すことは遠大で多岐に渡る。なので僕はまず自分の目的から話すことにした。


「失礼ながら、まずはこちらの要求を伝えさせてください」


「ふむ、要求とな?」


 髭を撫でる手を止めて、ポコス爺さんが僕を見る。

 ハーン国王もデカイおっさん――パンディオン将軍も同様だ。


「まずは現在、獣人種に対して出している宣戦の解除。並びに、獣人種に対する不当な拐かしと奴隷売買の禁止を要求したい」


「むむ? エンペドクレス王は魔族種としてではなく、獣人種いずれか列強氏族の名代としてここに来られたのかな?」


「名代というならば獣人種列強氏族が一つ、雷狼族のラエル・ティオスがそうです。彼女には、僕が王になる以前から世話になっているのもあるし、この度の仕儀では、明らかに非はヒト種族の方にある」


「ほう……そこまではっきりとおっしゃられるか。だが獣人種に対する宣戦の布告は彼らの側に罪がありますぞい。なにせ、アーガ・マヤ領の港湾と町の一部に対する火付けと。ヒト種族であっても重罪であるそれらの原因が、獣人種よるものという目撃証言がいくつもあるのですじゃ」


「ええ、その事件も、こちらで承知しています。確かに火付けそれそのものを行ったのは、獣人種です。その者は今僕の庇護下にあります」


 ビシっと音が聞こえるほど、室内の空気が冷え込む。

 室内の湿気――水の魔素に干渉している者がいるのだ。

 その張本人をポコス爺さんは窘めた。


「我が君、また悪い癖が出ていますぞ。感情の起伏のたびに水の魔素を操る癖はやめてくだされ」


「るせえジジイ。今なんと言った、エンペドクレスよ。下手人を匿っていると、そう言ったのか?」


「ええ、その通りです」


 認めると室内はさらに、まとわり付くような水気で満たされる。僕やポコス爺さんなどの魔法師は水の魔素を意志力の干渉で払えるからまだいいが、それ以外の者――特に鎧を纏っているパンディオン将軍やエミール、そして道化野郎はしんどそうに汗をかいていた。


「宣戦の撤回は可能だ。お前のお所にいる犯人を俺に差し出せば、すぐにでも取り下げられるぞ」


「ええ、そうでしょう。それが一番簡単だ。犯人を見せしめにして処刑する。だがそれをさせないために僕は今ここで話し合いに来ている」


「どういう意味だ?」


 まるで声そのものまでが湿り気を帯びているようだ。

 ハーン国王はどうやら、水の魔法の才能があるのにもかかわらず、あまりコントロールが得意ではないようだ。王族だからって甘やかされた証拠か。


「ニオブ海を望む港湾を焼き払ったのは確かに獣人種の、それもひとりの少女によるものです。彼女たちはそもそも、間者としてヒト種族の領域に潜入し、その過程で追い詰められ、止むに止まれず炎の魔法を発現するに至ったのです」


「止むに止まれず、だと? あの港湾は我らヒト種族の財産だ。それを丸ごと焼き払えるだけの理由があるというのか?」


 ハーン国王の目がギラリと光る。

 ここと返答次第では、この御仁は手打ちも辞さないだろう。

 そんな緊張感からか、両隣の将軍と爺さんも身構えている。


 道化野郎のフリッツは顔を青くしていた。

 エミールの顔は見えないが似たような感じだろう。

 レイリィ王女だけが静かに、僕の袖を掴む手に力を入れた。


「ヒト種族の中に、人類種神聖教会アークマインの教義を拡大解釈し、他種族を奴隷的に扱い、誘拐する者たちが未だにいる。彼女たちはそれを調べるためにヒト種族の内部を調べていた。そして、奴隷売買の大元締めに逆に追い詰められてしまった」


「奴隷売買、だと……ジジイ、知ってるか?」


 眉を顰めたハーン国王がポコス爺さんに振る。

 爺さんは「噂程度には」と答える。


「聞いたことがあります」と口にしたのはフリッツだった。

「話せ」と王に促され、訥々と語る。


「私は元々情報士官でしたので、聖都への内偵も行っておりました。聖都へ流れ込む多額の資金と、物流の中に、人身売買に関するものもありました。ただ、ヒト種族ではなく、獣人種であり、下手に突けば、人類種神聖教会アークマインが掲げる教義への謀反と取られかねなかったため――――」


「捨て置いた上に、俺に報告も上げなかったというわけか!? 舐められたものだな……!!」


 手前どものミスや情報伝達の不足を、外様である僕から指摘され、明らかに王は激憤していた。だが、そんなものは後で自分たちだけでやってほしい。僕は続ける。


「その少女自身も、かつては奴隷の身分でありながら、未だにヒト種族の冒険者によって同胞たちが攫われることに危機感を抱き、奴隷売買を続ける人類種神聖教会アークマインの影を追っていました。奴隷商の正体は聖都における大商会アナクシアの番頭マンドロス――」


 告げた途端、王はフリッツを見やる。

 聞き覚えがあるのだろう、フリッツはコクリと頷いていた。


「そのマンドロスに追い詰められてしまった少女は、彼と彼の手下に囚われ、身も心も陵辱される寸前でした……」


 レイリィ王女が息を飲む。

 エミールからも怒気が伝わってきた。

 女性陣には酷な話だが止めるわけにはいかない。


「ですが、自身が境地に立たされ、身も心も陵辱されんとしたその時、彼女の中の精霊が目を覚まし――結果的に周囲一帯を巻き込む形となってしまったのです」


「なんと、精霊とな!?」


 真っ先に反応したのはポコス爺さんだ。

 ヒト種族最高峰の魔法師ならば当然だろう。


「港湾を焼き尽くしたのは尋常ならざる黒い炎だった。そう報告を受けていませんか?」


「確かに……まさかそれが精霊が発現させた炎だったと?」


 頷き肯定する。

 この世界における共通の信仰。

 それが精霊という高次元存在。

 ヒトが作り上げた架空の神ではなく本物の神の名だ。


「タケル様、その少女はどうなったのですか?」


 隣からレイリィ王女が見つめてくる。

 憂いに満ちた瞳。僕は安心させるように言ってやる。


「心理的な衝撃は大きかったけど、自分を陵辱しようとしていた奴らは骨も残さず消滅させたみたいだよ。今では元気にしてる」


「そうですか……良かった、とその少女に関しては言わせてください」


 ヒト種族の町が被害に遭ってしまったのだ。

 そしてまた、罪深き者たちとはいえ、死者がいることからも、王族として手放しでは喜べまい。でも女性としては少女――アイティアに大いに同情しているのだろう。


「よもや精霊が現れるとは……この数百年、少なくとも人魔大戦以降はなかったことじゃのう」


 唸るポコス爺さんに「待て」と言ったのはハーン国王だった。


「本当にそれは精霊なのか? なんでも精霊の名を出せば許されると思っているのではないだろうなエンペドクレスよ」


「もちろん、彼女が精霊であるという根拠はあります」


「それはなんだ?」


 僕は少しだけ、悪戯を披露する子どものような心境になって、王へと告げた。


「たまさか僕のところには風と水、無属性と、三体の精霊がおりますので。その精霊たち自身から、自分たちと同じ存在であると言質を得ています」


「み、水と風、無属性の精霊、だと……?」


 ハーン国王の顔が引きつる。

 両隣のパンディオン将軍とポコス爺さんも目をむいている。

 レイリィ王女だけはクスッと笑みを零した。


「ちなみにこの子がその無属性の精霊です」


『お初にお目にかかります。真希奈は真希奈といいます。タケル様自らにより創造された高次元生命体――あなた方の言う精霊です』


 プルートーの鎧がガシャン、と歩み出る。

 胸元に掲げられた手の平の中で優雅に一礼するのは、どこからどう見ても人形の少女だった。


 自分では判断できないのだろう、ハーン国王がポコス爺さんを見る。

 爺さんは目玉が零れ落ちるほど真希奈を凝視している。


「見目は妖精種のようではありますが……、目を凝らせば確かに、その内にはとてつもない、まるで太陽サンバルの如く燃え盛る命の波動を感じまする。恐らくは本物かと……」


「エンペドクレスよ、お前は今その精霊を創ったと言ったか?」


「はい。僕には魔法を制御する才能がまるでありませんので――」


「それは嫌味かのう?」


 僕に傷一つつけられずに魔法を防がれてしまったポコス爺さんがしょげた顔をする。だが本当のことなのだ。僕は魔法なんて存在しない世界の人間で、無免許なのにもかかわらず、銀河を突破できるようなロケットエンジンを身の内に宿してしまった。


 そんなもの、自身で制御することは到底不可能で、精霊という存在が自身と世界とを繋ぐOSの役割をしてくれると気づき、仲間たちの協力の元、真希奈を創ったのだ。


「僕の魔法制御はこの子によるところが大きい。切っても切り離せない半身のような存在です」


『タケル様! 今のお言葉本当ですか!? 真希奈は感激です!』


「こんな風に、たまに調子にノリますけど、可愛い娘です」


 僕の顔に抱きつき、しっちゃかめっちゃかにキスしてくる真希奈。

 ハーン国王たちはそんな僕らを唖然と見ていた。

 隣でポソッと「いいなあ」「王女!?」と聞こえたのは気のせいだろう。


「アーガ・マヤの港湾が焼き払われた件については、一応納得した」


 ハーン国王は額を押さえながらそのように絞り出す。

 元々の原因が自分たちヒト種族にあり、それが精霊の怒りに触れたと考えれば、強く出ることはできまい。自分たちが精霊の怒りを買うことだけは避けたいはずだからだ。


「ひとつ聞きたいことがあります」


 そう言って挙手したのは、今まで黙っていたパンディオン将軍だった。

 彼は王の方を見やり、何も言われないのを確認すると口を開く。


「今の話を聞いていてもしやと思いましたが、人類種神聖教会アークマインのリゾーマタ支部や、聖都があのようなことになる直前、獣人種による襲撃があったとされていましたが、それはもしや、今の話と関係しているのでは……?」


 おお、総身に知恵が回る大男がいた。パンディオン・ダルダオス。なかなか鋭いではないか。


「無関係ではありません。獣人種は随分前から、人類種神聖教会アークマインこそが、自分たちの同胞を虐げてきた正体として反撃を試みてきました」


 正確にはリゾーマタ支部が襲撃されたのはエアリスの要請によって、囚われのディーオを救出するためのものだった。だがラエル・ティオスにとっては、憎き人類種神聖教会アークマインに対する報復の意味もあったことは間違いない。


「もしや、聖都があのようなことになった原因も獣人種に――!?」


 パンディオン将軍の一言は、怒りよりも驚愕をハーン国王とポコス爺さんに齎した。まさか獣人種に聖都を丸ごと消滅させるだけの力があるというのか、と。


「それは違います」


 僕ははっきりと否定する。


「確かに寿ぎの日、聖都において獣人種奴隷解放作戦が行われたことは事実です。ですが、聖都が消滅した原因はそれとはまったく別のものです」


「なんと、それはどのような……?」


 ポコスの爺さんが眉間に深いシワを刻み、僕へと先を促す。

 あの日、聖都の地下施設で見たもの。

 そして奪われてしまった僕の大切なヒト。


 それらを齎した原因。

 聖都百万人の命を贄に捧げた張本人たち。


「すべては教皇クリストファー・ペトラギウスと、それを影で操っていた司教、オッドアイ・・・・・が計画したこと。聖都の住民全ての命を対価に、彼らは異世界への扉を開かんとしていたのです」


 僕の言葉に、室内にいた全員が息を呑む。

 聖都の繁栄も、人類種神聖教会アークマインの急速な発展も、全てはオッドアイによる計算された破滅だったのだ。


 続く。

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