第276話 東国のドルゴリオタイト篇⑪ 幕間・コイツらどっちも悪人〜ゼイビス死亡確認!

 * * *



 永世中立国エストランテ最貧民街バモス。

 薄暗く湿った裏路地の最奥、一人の男が扉の前に立っていた。


 男の身長は高く、だが顔は布で隠しているためにわからない。

 長い外套衣の間から節くれた手がぬうっと覗き、戸板を三回、二回、三回と叩いたあと、扉の向こうから声がかけられた。


「宝物庫には――」


「龍の石が眠る」


 ガチャリ、と扉が開かれ、中から別の男が顔を覗かせた。

 こちらは四十代。小太りで背は低い。おどおどとした様子で扉の隙間から周囲を見渡す。その様子を見て取り、訪問者である男は苛立たしげに部屋へと押し入った。


「私が尾行者などつけてくるわけがないだろう。さっさと扉を閉めろ」


 男は女性用の装飾具であるヒブジャと呼ばれる布でスッポリと顔を隠していた。

 鋭い目つきだけが布地から覗いており、その眼光はひとめで只者ではないとわからせるだけの迫力を伴っていた。


「見張りを立たせている。時間は半刻までだ。いい加減、いい知らせを聞かせてくれるのだろうな?」


 部屋の中は粗末のものだった。

 調度品はなく、家具らしい家具もない。

 ただ唯一、窓際の寝具だけが小奇麗に整えられている。

 側の丸机には水差しが置かれ、フチの汚れた切り子コップがふたつ置かれていた。


 男は苛立たしげに部屋の奥まで進むと、水指から切り子に水を注ぎ、口元に近づけた瞬間「むぅ」と唸った。存外汚かったらしい。舌打ちをしながら丸机に置く。


「何が悲しくてこんな場末の出会い部屋にまで足を運ばなければならないのか。それもこれも貴様の仕事が遅いせいだぞビアンテ」


 ビアンテと呼ばれた男は首をすくめて「申し訳ありません」と頭を下げた。


 実はこのビアンテという男、なかなか一方ひとかたならぬ人物だった。

 なんとこの街で一番と称される大商会ユーノスの新しき番頭・・・・・であり、所属する商会員二万人を束ねる大人物なのである。


 ではそんなビアンテを叱りつけるビブジャの男は誰なのか。

 それはビアンテすら超える大大大人物に他ならなかった。


「今日はギゼル様にお知らせが――――ブッ!?」


 にこやかに語りだしたビアンテの鼻っ柱を水の入った切り子が襲った。

 至近距離から全力で振り抜かれたのだろう、切り子はビアンテの顔面で粉々になって床にぶち撒けられる。足元に散らばった硝子片の上にボダボダボダ、と夥しい鮮血が落ちていく。鼻血だった。


「今この場でその名を使うな! 誰が聞き耳を立てているとも知れぬのに!」


 見張りを立たせているのではないのか。一瞬ビアンテは反論しかけるが、さらなる怒りを買うと思い、鼻を押さえて口をつぐんだ。


 そう、今ビアンテを射殺しそうなほど睨みつけている人物こそ、エストランテ王宮の財務大官、ギゼル・ディアマンテそのヒトだった。


 類まれなる商才を持った紛れもない天才でありながら、元ユーノスの番頭だった彼の評判は、商会内でもすこぶる悪いものだった。


 慎重に慎重を重ねることで有名な男であり、それが結果として功を奏してきたのだが、それはよく言えばの話であり、たんなる臆病者すくたれであると言うのがビアンテを含む元部下たちの評価だった。


 だが彼は政治力にも優れており、財務大官という役職を広く民間徴用から募るよう、一代前の大官に認めさせた功績は非常に大きい。


 市井の商会から財務大官を排出すれば、その商会はたちまち評判となり、諸々の商売に一層の箔がつくからだ。ただし、その一代前の大官様は現在、ユーノス大商会の最高顧問として『再就職』しており、名誉職であるのにもかかわらず、非常に高価な給金を得て毎日豪遊ばかりしているのだった。


「ちッ、いつまで鼻血なぞ流してる。私は時間がないと言ったぞ。さっさと報告があるのなら言え」


 あんまりにも理不尽な物言いにビアンテの腹の底に燃えるような殺意が宿った……ような気がしたが、そんなものは幻想だ。ギゼルの刃物のような眼光を見れば、一瞬で背中が寒くなり、燃え上がっていたはずの怒りが消沈していく。


 気性の激しいギゼルを恐れるビアンテは、よりもよってギゼルに、絶対に逆らえない弱みを握られてしまっているのだ。


「なんだその反抗的な目は。誰のお陰で貴様のような凡夫がユーノスの番頭になれたと思っているのだ。貴様の替わりなどいくらでも用意できるのだぞ。ただ単に後釜を育成する手間に比べたら、グズでノロマな貴様の失敗に目をつぶった方が面倒が少ないという、ただそれだけの理由で貴様はその立場にいるのだ。だがいい加減私の寛大な心も摩耗してきたかもしれん……あとは、わかるな?」


 エストランテには「子供を叱るなら、まずはかつての自分をも叱れ」という格言がある。子供のイタズラや失敗は、かつて自分も同じ子供だった頃にしてきたことだろう、なら一度は大目に見ろ、という意味である。


 したがって各商会に所属したばかりの丁稚が失敗をしても、大概の場合は許される。ただし、二度目に同じ失敗をしたら大目玉どころでは済まない。中には一度目は二度目の布石だとする考え方もあり、怒りの度合いが桁外れに上がることからも、次回以降は絶対に間違わないよう徹底して注意を払うようになるのだ。


 ギゼルという男は、実は一度も失敗したことがない。

 それは石橋を叩いて叩いてさらに叩くような慎重とは紙一重の臆病さによって得られた薄氷の栄誉であり、一度として失敗したことのないものが、失敗するかもしれない……という恐怖に縛られると、目の前にいる神経質な男になるのだとビアンテは知っている。


 そんな利己心と臆病を詰め込んでパンパンに膨らんだ、破裂寸前の風船のような男が言う。そろそろ慈悲深い私でも限界だぞ、と。ビアンテはまた切り子を投げられては堪らないと早々に本題を切り出した。


「私の雇いました暗殺者から報告です。目標を確かに殺害したと。ひと月前のことだそうです」


「ほ」


 ギゼルは鋭い目つきを和らげ、まんまるに見開いた。

 そのままベッドの方まで後ずさると、ドシンと尻もちを着く。巻き上げられた埃が、窓掛け布の隙間から差し込む陽光に照らされもうもうと煙った。


「よくやった――! いやあ、でかしたぞ! ははは――ああ、しかし本当なんだろうな?」


 一瞬まさった悦びも、ギゼルの臆病が懐疑に変えてしまう。やれやれ、とばかりにビアンテは懐から証拠を取り出す。


「こちら、目標が持っていた証拠の品です。お確かめください」


「おお……!」


 ギゼルは腰を浮かせて証拠品を受け取る。それは確かに王宮御用達の封蝋印だった。エストランテ初代王オイゼビウスと縁の強い龍の刻印が彫られたものだ。


「ろうそくを出せ」


「は、え?」


「コレだけ見せられてもわからぬだろうが。実際に使ってみんでどうする!」


「え、ええ、少々お待ちを」


 ビアンテはベッド棚の奥にあったはず、と祈るような気持ちでろうそくを探し当て、火打ち石で火を灯す。「溶かせ!」と言われ、丸机の上に蝋を垂らしていく。ある程度溜まったところでギゼルは蝋印をギュムっと押し付けた。


「いかがでしょう?」


「いかがでしょう、だと? 貴様は本当にバカだな。私が持っている封蝋と比べなくては意味が無いだろう。もう一つ作らぬか!」


「は、はい!」


 ビアンテは再び火のついたろうそくを傾け、丸机に溶けた蝋を落としていった。そして――


「ふむ。ほほう……これは」


 暗殺した目標が持っていた封蝋印と、ギゼルが財務大官として預かっている封蝋印。ともに王国の紋章が刻まれており、それは寸分違わず同じものだった。


「でかしたぞビアンテ、よくやった。詳しいことを聞こうか」


 あからさまな安堵からか、急に柔和な口調になるギゼル。

 ビアンテはホッと胸をなでおろしながら、つらつらと報告をした。


 船上で暗殺を仕掛けた際に、誤って海に落としてしまった暗殺対象。

 死んでいるかと思いきや実は生きており、とある漁村で傷を癒やしている最中だった。漁師たちに金子を握らせ、目標の就寝中を狙い、殺害を目論んだ。


 だが、目標はすでに逃亡したあとであり、その後、必ずあと一歩というところまで追い詰めて置きながら、暗殺に失敗するということを繰り返していた。


 まんまと半年以上も取り逃し続け、その間のギゼルの心労は限界に達していた。ビアンテへの折檻も幾度となく行われた。そしてついに今日、心の重荷がようやく解かれることとなったのだった。


「なんと、魔族種領だと? 随分なところまで逃げおおせたな。報告に一月もかかったのはそのためか」


「はい、伝書鷲では確実性が薄れるため、早馬を十頭も替えながらエストランテまで報告に来たそうです」


「ふん。その暗殺者はどうしている?」


「現在、当商会が所有します保養所で旅の疲れを癒やしているところです」


「そうかそうか。そうだな、あと三日は歓待してやれ。なにせ私の悲願を達成してくれた恩人だ。たっぷりと礼をしてやらなければな。それ以降は、わかっているな?」


「はい。手練てだれを雇っております。抜かりなく口封じをいたします」


「よろしい」


 事情を知る暗殺者など邪魔なだけだ。殺した目標の身体的特徴はもとより、王家の封蝋印を持っていたことから、バカでもギゼルたちの企みに気づいてしまうことだろう。事情を知らぬ他の暗殺者に消してもらった方が後の面倒がなくて済むというものである。


「やつの死体はどうなった?」


「顔の皮を剥いで打ち捨てたそうです。その領内では魔人族の他に獣人種も数多く住んでいる土地柄ですので、身元がわからない獣人種の死体・・・・・・が上がったところで気に留める者はおりますまい」


「ふう……なんとか、弟君の誕生日までに間に合ったな」


「では、予定通りに?」


「うむ。大体的に執り行う。王子のお披露目と同時に発表するぞ……!」


 ギゼルが現在心血を注いでいるもの。それこそが黄龍石に魔法を付加した新たな魔道具の開発と販売であった。


 王家の王とその嫡子が元服したさいにしか知らされないエストランテの秘密。宝物庫に封印された大量の黄龍石。


 それはかつて王国誕生に寄与した魔族種龍神族の王から齎された友好の証であり、王となる者は今日のエストランテがあるのは誰のおかげであるのか、深く胸に刻みつけなければならない、とされている。


 そして本来なら財務大官ににでもならない限り、王族以外では決して知り得るはずもない黄龍石の存在を、ギゼルは役職に付く以前から、様々な伝を使って調べ上げていたのだった。


「おめでとうございます。これで聖都に投資した分の資金も回収できます――バァ!」


 うっかり口を滑らせたビアンテに対し、木製の水差しが脳天に振り下ろされた。取っ手を残してバカンと容器が割れ、ビアンテは頭を押さえてのたうち回った。


「今資金を回収とか言ったか? そんな物言いではまるで私が失敗したようではないか? ええ? もう一度言ってみろ、資金がなんだと……?」


「も、申し訳――違います、私の勘違いでありました、お許しを……!」


 そう、ギゼルは以前から黄龍石の特別な効果を知っていた。それは懇意にしていたとある司教・・から齎された情報であり、ひとつの条件と引き換えに、魔法を付加した黄龍石を独占的に販売する計画を推進していたのだ。


 司教の名前は――彼がこの世界で名乗った偽名を除けば、その本名はアダム・スミス。かつてヒト種族に於いて一大勢力を誇った人類種神聖教会アークマインにて辣腕を振るっていた男だった。


「そうだ、私は失敗などしていない……! 絶対に失敗などしていないのだ……!」


 ギゼルはヒブジャの奥でギリギリと歯ぎしりをしながら両の目を吊り上げた。


 かつて、大商会ユーノスの番頭だった頃、ギゼルは商会の新たな投資先として急発展を遂げていた聖都に目をつけていた。


 当時、王都に拠点を置く同じ大商会アナクシアと聖都で必要になる諸々の物品の受注争いを指揮していたギゼルは、結果、地政的な問題によりこれに敗北してしまう。だが、年若い司教はギゼルに救いの手を差し伸べてきた。


「あなたには別のモノを用意してほしいのです」


 それこそが、魔法世界マクマティカ中にある希少鉱石、鉱山資源の調達だった。


 マクマティカでは一部の好事家を除き、希少石への宝飾加工技術はあまり発達していない。殆どの希少鉱石は、そのまま貨幣と同じ扱いで換金ができてしまうため、王都が管理する造幣局が著しい加工を制限しているのだ。天下の王都を敵に回してまで、冒険をする商人はひとりもいなかった。


 だからこそ、ギゼルを始め誰ひとりとして思いつきもしなかった。

 今まで自分たちが取り扱っていた希少石に、さらにその価値を高める方法があったことなど。


 年若き司教は「あなたにだけお教えします」と言って、黄龍石の特殊な効果を教えてくれた。そしてもし自分に投資してくれるのなら、加工した黄龍石を独占販売することを許可してもいいと。


 ギゼルはこの話に飛びついた。

 実際危ない賭けだと思わなくもなかったが、予想される天文学的規模の利益がそれらを吹き飛ばした。


 そうしてギゼルはユーノスの商会長を説得し、巨額の資金を司教へ――人類種神聖教会アークマインへと投資する。


 それでアダム・スミスが何を行ったかと言えば――それこそが魔族種領への進軍。希少な魔族種の、それも王を捕獲するという蛮行だったのだが……。


「そうだ、聖都が消滅しようが知ったことではない。あの司教もろともすべてが灰燼に帰したのなら、黄龍石の秘密を知るものは私だけだ。黄龍石を市場に流すことで一次資金を儲け、投資額の約半分は取り戻すことができた。さらに残りの金を使い、二次加工を進めていけば……!」


 現在、ユーノスの私有地に建設した秘密の工場内にて、続々と新たな金の卵が生まれ続けている。ひと粒につき一つ。四大魔素を付加した『魔法石』である。これは磨き上げた表面に特殊な呪印を刻み込み、魔法を封じ込めるという特殊な技術だった。


 その上、封じ込める魔法もある程度の質を考慮し、いずれも魔法師試験1級の資格を持つ魔法師ばかりを集めている。毎日交代制で魔力が尽きるまで魔法を封入させ、食事も睡眠も女も抱きたい放題の高待遇で働いて貰っている。


「それをお披露目する舞台は決まっている。我が傀儡、弟殿下のお誕生日だ」


 それはもう間もなく執り行われる一大行事。

 王が病臥に倒れ、摂政であった兄殿下も『交易途中の不幸な水難事故』により行方不明となってしまった。


 エストランテ王国は度重なる不幸をはねのけて盤石であると、ベアトリス殿下八歳の生誕祭に、国内外から広く要人を集め、大々的に発表するつもりなのだ。


 その前に、最大の懸念だった当の兄殿下――ゼイビスアスの死亡が確認された。

 これでもうギゼルの覇道を邪魔する者は誰もいなくなった。


「ユーノスに天下りさせた前財務大官もいずれは消してしまおう。あとは動きが気になるのはオベロンだけか」


 オベロンとは商人ギルド・オベロンのことだ。規模こそユーノスに及ばないものの、歴史と伝統を受け継ぐ公明正大な組織であり、主にヒト種族、獣人種、魔族種領において、黄龍石を始めとした希少石の換金相場の決定権を持っている。


 今回ギゼルはユーノス商会の商会員を使い、獣人種、ヒト種族、そして一部魔族種領において、日時を決めた同時多発的な黄龍石の換金を行っていた。


 それによって、換金した地域では一時的に黄龍石の需要の高まりを見越して買い注文が殺到――値が釣り上がるものの、やがて伝書鷲などを使い、各オベロン支店と連絡を取り合い、情報が連結していくにつれて、黄龍石市場が寡占状態であることが知られていく。


 つまり、ギゼルの息のかかった商会員が黄龍石を売り、それを買い取った一般の商会はそれを利益を含めて売り払って儲けを出したいと考える。


 通常なら、欲しいという需要がある他の商会、地域へ流れていくはずの黄龍石が、すでに十分な数出回っているため、売り手側ばかりが多くなり、買い手側がいない状態になる。


 いつまでも負債を抱えているわけにはいかず、売り手側が一斉に損切りを行った結果、黄龍石の市場が暴落を起こしてしまったのだった。


 この一連の不自然な動きに当然オベロンギルドは調査を開始している。ユーノスが犯人だという証拠は残していないので気づかれることはないはずなのだが――


「ユーノスとしましても、救済策として黄龍石の買い取りを行っております。まさかそこから足がついたのでは……?」


 買い手がつかないゴミ同然の黄龍石を、ユーノス商会は同業他社を救済するという名目で積極的に買い取りを行っていた。市場価値にして一割以下の値段での買い取りだったが、少しでも損失を補填したい他の商会は、泣きながら感謝していた。


「それにしても疑いを向けられるのが早すぎる……。おい、換金する商会員の人選は貴様に任せたが、誰か裏切り者がいるんじゃないだろうな?」


「いいえ、滅相もありません。ユーノス商会の中でも選りすぐりの商人たちばかり、それも忠誠心がとびきり強いものたちを選びましたので」


「ふん、まあいい。どのみちお披露目をしてしまえばバレてしまうだろう。だがその時には遅い。魔法石の需要は一気に高まり、そのまま高まり続け、青天井を突き破って星々まで届くはず。そうなったらもはやオベロンなど物の数ではない。王都や諸侯連合も抱き込んで、私が世界を支配してやる……!」


 ギゼル・ディアマンテ。

 極度に失敗を恐れる小心者でありながら、超一級の野心を持つ男。


 彼が行ったのは通信技術の発達していない魔法世界マクマティカに於いて、情報遅延を利用した詐欺行為であり、ストーンロンダリングであり、粉飾決算であり、インサイダー取引も真っ青なマッチポンプだった。


 男たちは知らない。

 場末の出会い部屋にの片隅には、エーテル体で形作られた蛇が一言一句を聞き逃さず彼らを監視していることを。


 そして、黄龍石の原産国である龍神族の領内で、大きな政変が起こり、一人の王が誕生し領内を平定したことを。


 三代目の王、タケル・エンペドクレスの存在を彼らはまだ知らないのだった。



 *



 ところ変わって魔族種龍神族の王、タケル・エンペドクレスの居城、龍王城の地下室――――


「お、感触が変わった。……おおっ、見つけた! 出てきたっすよ姉さん! ようやく鉱脈にたどり着きましたよ!」


「よし。ではそこから先はツルハシは使うな。ノミとトンカチで少しずつ削っていくのだ」


「うぃーっす!」


 ギゼルたちには死んだと思われていたゼイビス本人が、額に汗を流して、エアリスの指示により、新たな黄龍石の発掘作業に追われていた。


 続く。

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